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<スズケンDIアワー> 平成22年12月30日放送内容より スズケン

アレルギー性疾患治療薬レボセチリジン塩酸塩


鹿児島大学大学院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学 教授
黒野 祐一

icon アレルギー性鼻炎の治療

 独協医科大学の馬場先生らが2008年に行った全国疫学調査によると、アレルギー性鼻炎の有病率は、通年性アレルギー性鼻炎とスギ花粉症がともに25%前後で、アレルギー性鼻炎全体では約40%と報告されています。このまさに国民病と言っても過言ではない本疾患に対して、現在様々な治療薬が用いられていますが、もっとも使用頻度が高い薬剤が抗ヒスタミン薬です。抗ヒスタミン薬は第1世代と第2世代に分類され、第2世代抗ヒスタミン薬の中でも2000年初めから市販されたものは、それまでの薬剤よりも鎮静作用や抗コリン作用が少なく、アレルギー性鼻炎そして花粉症治療薬の中心的な役割を担っています。
 さて、アレルギー性鼻炎は典型的なT型アレルギー性疾患であり、くしゃみ、水様性鼻漏、鼻閉を主症状とします。くしゃみと水様性鼻漏は鼻粘膜の三叉神経終末のヒスタミンH1受容体に肥満細胞から放出されたヒスタミンが結合し、その刺激が中枢に送られ、迷走神経あるいは副交感神経を介して生じます。一方、鼻閉は局所に放出されるロイコトリエンやトロンボキサンA2が鼻粘膜血管内皮細胞や血管平滑筋に作用して、容積血管の拡張や血管透過性の亢進を招くことで生じます。一側の鼻粘膜を抗原で刺激すると水様性鼻漏が両側に認められるのは、この中枢を介した反射によって鼻漏がもたらされるためです。
 したがって、抗ヒスタミン薬はくしゃみと水様性鼻漏の治療に有効であり、鼻閉には効果が少ないと考えられていました。ところが、第2世代抗ヒスタミン薬は鼻閉にもある程度有効で、これは本薬剤が抗ヒスタミン作用に加えてロイコトリエン産生抑制作用を併せ持っているためと考えられています。しかし、抗ロイコトリエン薬と比較するとその効果は弱く、そのため、くしゃみ・鼻漏型には抗ヒスタミン薬を、鼻閉型には抗ロイコトリエン薬を用い、すべての鼻症状を訴える症例あるいは重症例には両薬剤を併用するよう、鼻アレルギー診療ガイドラインにも記されています。


icon 新規抗ヒスタミン薬の登場

 ところが、本邦では8年ぶりの新規抗ヒスタミン薬となりますが、先日新発売されたレボセチリジン塩酸塩(以下レボセチリジン)が、鼻閉にもよく効くということが海外の臨床試験で報告されており、本邦における本薬剤のアレルギー性鼻炎に対する治療効果に大きな期待が寄せられています。
 レボセチリジンはセチリジンのR-エナンチオマーのみを精製した新規抗ヒスタミン薬で、セチリジンよりも最高血中濃度到達時間が短縮され、その一方で血中濃度半減期が延長されています。また、H1受容体に対する親和性がセチリジンの約2倍、そしてS-エナンチオマーであるデキストロセチリジンの約30倍も高く、さらに、レボセチリジンのH1受容体からの解離半減期は142分と非常に長くなっています。これらの薬理作用から、レボセチリジンが即効性でその効果が長時間持続し、しかも非常に強いヒスタミン受容体拮抗作用を持つと推測されます。
 さらに、抗ヒスタミン薬でしばしば問題となる鎮静性に関しても、動物実験で、レボセチリジンの脳内への移行率が非常に低いことが実証されています。すなわち、レボセチリジンは、セチリジンを光学分割によって単一のエナンチオマーとしたことで、その効果とともに副作用も著しく改善されたと考えられます。

 

提供 : 株式会社スズケン



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