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<スズケンDIアワー> 平成23年1月13日放送内容より スズケン

バソプレシンV2受容体拮抗利尿薬 トルバプタン


北里大学循環器内科学 教授
和泉 徹

icon 日本における二つの課題

 しかし、日本の実臨床における利尿薬の使い方においては二つの課題が指摘されると思います。
 ひとつは、既にうっ血性心不全の第一選択薬としてカルペリチド静注投与が一般化していることです。このカルペリチドの静注投与に加えてさらにトルバプタン投与が行われた時、どのような効果や副作用があらわれるかについては現在のところ分かっておりません。
 もうひとつの問題は慢性腎臓病(CKD)を加味した慢性心不全患者についてです。CKDを持っている心不全患者は約40%を占めますが、このような患者でもトルバプタンは有効に作用するのでしょうか。それとも作用が大きく減弱するのでしょうか。この点についても正確な情報はありません。
 しかしながら、トルバプタンの1日1回投与によってうっ血性心不全患者の症状や症候が大きく改善することは確認されています。トルバプタンは初投与の場合も再投与の場合も入院患者に限られています。また急激な血清ナトリウムの補整は、神経学的な副作用を惹起するおそれがあります。投与時は尿量や血中電解質チェックが不可欠です。初回投与は15mg(あるいは7.5mg)から始め、暫時増加することが求められています。

 これらの二つの課題は早急に解決されるべきでしょう。しかし、トルバプタンは新しい利尿薬の使い方について大きな変革をもたらすことは間違いありません。それによって慢性心不全患者の医療負担が大きく軽減すると期待されています。

 

提供 : 株式会社スズケン



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