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<スズケンDIアワー> 平成23年1月20日放送内容より スズケン

GLP−1アナログ糖尿病治療薬 エキセナチド


順天堂大学代謝内分泌学講座 先任准教授
綿田 裕孝

icon インクレチン関連製剤の登場

 しかし、これまでの治療法では、解決できない問題がありました。それは、2型糖尿病の進展とともに、
   1)低血糖を伴わない厳格な血糖コントロールが困難になる。
   2)体重が増加する。
   3)増加する心血管疾患の発症を抑制しきれない。
   4)これらの根本原因である膵β細胞機能低下を防げない。
ということです。
 これらのUnmet needsを満たしてくれる可能性がある薬剤が、インクレチン関連製剤です。

インクレチンとは

 インクレチンとは、そもそも、膵β細胞のインスリン分泌促進作用に関与する主要な消化管ホルモンの総称で、栄養素の摂取に伴い消化管から分泌されます。代表的なインクレチンにはGLP-1とGIPの2種類があります。


ブドウ糖応答性インスリン分泌のメカニズム

 このインクレチンは膵β細胞に作用しインスリン分泌を促進するのですが、あくまでも、膵β細胞におけるインスリン分泌を惹起するのは、血中のブドウ糖濃度の上昇です。
 細胞外のグルコース濃度が上昇すると、GLUT2を介してグルコースが細胞内に取り込まれ、解糖系を介して、ATPの産生が増加します。次いで、ATP感受性Kチャネル(KATPチャネル)の閉鎖、細胞膜脱分極、電位依存性Ca2+チャネルの開口により、細胞内Ca2+濃度が上昇し、インスリン分泌が起こります。一方、GLP-1やGIPは、膵β細胞膜上のGLP-1、GIP受容体に作用し、細胞内cAMP濃度を上昇させますが、グルコースによるインスリン分泌経路があるときに初めて、インスリン分泌の促進を増幅します。従って、インクレチンは基本的には、血糖依存性にインスリン分泌を促進するため、低血糖なくインスリン分泌を促進させます。

生体内GLP-1の主な作用

 GLP-1の血糖降下作用の主作用は、あくまでも、膵β細胞からのグルコース濃度依存的インスリン分泌の促進作用ですが、GLP-1はその他の細胞にも作用し、2型糖尿病の病態改善に関与します。まず、食物摂取により血中に分泌されるGLP-1は、2型糖尿病で認められている膵α細胞からの過剰なグルカゴン分泌を抑制します。また、GLP-1は、胃内容物排出時間を延長させることにより、栄養物質の腸への吸収を遅らせ、食後血糖値の上昇を抑制します。そして、GLP-1は、おそらく中枢介在性のメカニズムを介して、満腹感を亢進させ、結果として、体重減少をもたらします。

 

提供 : 株式会社スズケン



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