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<スズケンDIアワー> 平成23年1月20日放送内容より スズケン

GLP−1アナログ糖尿病治療薬 エキセナチド


順天堂大学代謝内分泌学講座 先任准教授
綿田 裕孝

icon エキセナチドの特徴

 今回ご紹介いたしますGLP-1製剤エキセナチド(商品名:バイエッタ)は2005年に米国で発売されたGLP-1受容体作動薬で、世界80カ国で承認され、米国EUなど主要国の糖尿病治療ガイドラインに記載されており、のべ120万人以上の患者さんに使用されています。経口血糖降下薬2剤以上を使用しても血糖コントロール目標が達成できない患者さんの治療戦略は臨床現場の大きな課題であり、エキセナチドはそのような課題にこたえる新しい治療選択肢であります。 エキセナチドは2010年12月末に日本においても発売されました。
 日本人におけるエキセナチドの効果を国内臨床試験からご紹介します。
 SU薬を含む経口血糖降下薬でコントロール不十分な2型糖尿病患者をプラセボ群、エキセナチド5μg群、10μg群に無作為に割り付け、投与後24週におけるHbA1c値の変化量をみたところ、5μg群で1.34%、10μg群で1.62%有意に減少しました。この際の体重変化の結果を見てみますと、血糖コントロールが良くなっているにも関わらず、投与後24週において、エキセナチド5μg群で0.39kg減少し、10μg群では1.54kgとプラセボ群に比べ有意に減少しています。 このエキセナチドのインスリン分泌促進作用の特徴をご紹介します。

インスリン分泌

 食事・運動療法のみ、または食事・運動療法と経口薬の単剤療法を受けている2型糖尿病患者を、無作為に、エキセナチドを静脈内持続投与したエキセナチド投与群と、生理食塩液を静脈内持続投与したプラセボ投与群の2群に分けてクロスオーバー試験を行い、健康成人のインスリン分泌パターンと比較した。2型糖尿病では、ブドウ糖負荷後の速やかなインスリン分泌、とそれに、引き続くインスリン分泌の両者が低下していますが、エキセナチド投与により、この低下しているインスリン分泌は増強され、健康成人と同様のパターンを示しました。近年、食後高血糖を伴う血糖変動が、動脈硬化を促進する可能性が示唆されていますが、このインスリン分泌の改善パターンは、血糖変動の平坦化をもたらすものと期待されます。
 実際に、国内臨床研究のベースラインから24週時の1日7ポイントSMBGの推移の結果をここに示します。

7ポイントSMBGの推移

 1データですがエキセナチド投与は、空腹時、及び食後の血糖値の上昇を抑制しますが、特に食後高血糖の抑制効果が強いことが特徴となっております。この結果は、エキセナチド投与による血糖変動抑制が動脈硬化抑制に関与する可能性を示唆します。
 それに付け加えて、エキセナチドには、さらなる動脈硬化抑制の可能性があります。

エキセナチドの動脈硬化抑制効果

 昨年、私どもがDiabetes誌に発表したデータを示しますが、私達は、エキセナチドは、直接的にマクロファージに働き、炎症反応を抑制すること。おそらく、少なくとも一部には、この作用を介して、エキセナチド投与はApoEノックアウトマウスの動脈硬化の進展を抑制することを証明いたしました。すなわち エキセナチドは血糖抑制を介する動脈硬化症進展抑制効果とともに、直接的な動脈硬化進展抑制効果があると期待されます。
 エキセナチドの適応患者は、2型糖尿病、ただし、食事療法、運動療法に加えてスルホニルウレア剤(ビグアナイド系薬剤又はチアゾリジン系薬剤との併用を含む)を使用しても十分な効果が得られない場合に限るとなっています。


icon おわりに

 糖尿病では、合併症の発症進展阻止のために、血糖を良好にコントロールする必要がありますが、多くの患者が血糖コントロール不良であることがわかっています。また、体重増加も大きな課題で、体重増加による血糖コントロール悪化を経験することも多いと思います。エキセナチドは、空腹時と食後の血糖上昇を抑制し、HbA1c値を改善します。さらに体重を減少させることも報告されています。消化器症状や低血糖症に十分注意しながらエキセナチドを上手に使うことで、より適切な治療が可能になります。そして、患者さん自身がその効果を実感することで、治療意欲が高まり、治療の成功が期待できるのでないでしょうか。類薬で報告された事例からスルホニルウレア剤併用時の低血糖管理の重要性、ならびにGLP-1受容体作動薬がインスリンの代替ではなくインスリン依存状態にある患者には用いるべきではないことなど、エキセナチドの適正使用促進も期待されます。

 

提供 : 株式会社スズケン



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