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<スズケンDIアワー> 平成23年1月27日放送内容より スズケン

DI実例集(170)「注射剤のジェネリック医薬品について」


岡山大学病院薬剤部試験研究室 主任
佐藤 智昭

icon 溶けにくい注射剤での臓器の障害を考慮した安全性・利便性の検討

 さらに、原料や添加剤が同じであっても、安全性・利便性が全く同じとは限りません。

溶けにくい注射剤での臓器障害を考慮した安全性・利便性の検討

 医薬品によっては、大変溶解しにくいものもあり、溶けていない粒子は、肺や腎臓に蓄積すると臓器の障害を引き起こす可能性もあることから、製薬メーカーによっては開発努力することで粒子径を小さくするなど、溶かしやすく工夫しているものもあります。実際にカルバペネム系抗生物質であるイミペネム/シラスタチン注射剤の添付文書には「通常生理食塩液100mLを用いて、よく振盪して溶解する」と記載されています。しかし、臨床現場では、水分制限が必要な患者には、100mL未満の小容量の輸液で溶解するケースも多々見受けられます。検討した結果、注射剤の溶解に要する時間は、ブランド医薬品で1分弱となりましたが、ジェネリック医薬品では2倍程度の時間を必要としたものもありました。また、肉眼では観察できない小さな微粒子は装置を用いて測定し、その不溶性微粒子の数は、同等と判断できる製剤とそうでない製剤、またジェネリック医薬品間でも溶解する条件によっては、品質は同等でないと判断されるものもあり、小容量の輸液で溶解するケースが多くある施設では注意が必要であると認識できました。


icon ジェネリック医薬品採用後における副作用調査

 次に注射剤においては、特に採用後での安全性について評価を行うことが重要となってきます。

ジェネリック医薬品採用後における副作用調査

 ジェネリック医薬品では安全性は主薬のみを対象とした評価であって、製剤としての安全性評価は行われていません。ジェネリック医薬品のある注射剤の一つに、塩酸バンコマイシンがありますが、代表的な副作用として腎機能障害が知られています。当院が追加採用したジェネリック医薬品の製剤中には、溶解性と安定性を向上させる目的でマンニトールとマクロゴール400が添加されており、優れた保存性を示す製剤となっています。価格的に有利であるジェネリック医薬品は、高用量のバンコマイシン投与が必要とされる患者のケースでは好んで選択されますが、我々が行った研究では、腎機能障害の発生頻度に違いはないという結論となり、問題のないことを確認致しました。

 このように、ここ数年間でジェネリック医薬品を比較検討したエビデンスが多数報告されてきています。ジェネリック医薬品採用に際して、注射剤では特に、安全性・有効性を十分に踏まえ、製剤学的な違いをよく把握した上で、利便性・経済性等を考慮し、どの医薬品が自分の施設で適しているのかを選択することが重要です。また、我々薬剤師を中心とした医療従事者は、より安全で使いやすいジェネリック医薬品が今後も上市されるように、製薬会社への情報発信をしていくべきと考えます。

 

提供 : 株式会社スズケン



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