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<スズケンDIアワー> 平成23年2月10日放送内容より スズケン

がん突出痛治療用口腔粘膜吸収剤 フェンタニルクエン酸塩


京都府立医科大学緩和医療学講座 教授
細川 豊史

icon 突出痛治療の実際

突出痛の原因の評価

 まず、突出痛の原因の評価が必要です。つまり、定期投与の鎮痛薬の増量やレスキュー・ドーズの投与を行うだけでなく、原因を評価して、原因に応じた治療を考えることからスタートします。
 例えば骨転移による突出痛に対しては放射線治療が第一選択となる場合も多いわけです。また外科的、整形外科的治療の適応の有無についても考慮し、時には緩和的化学療法など、腫瘍そのものに対する治療も行うことがあります。必ずそれぞれの専門家と相談して最適な方法を考えていかなければなりません。
 また、難治性の神経障害性疼痛については、さらに、きめ細かい対応が必要です。がんに伴う神経障害性疼痛には、腫瘍そのものが神経へ浸潤して生じる痛みや、術後に遷延する創部痛や放射線治療後の知覚神経障害、抗がん剤の副作用による末梢神経障害に伴う痛みなどがあります。この神経障害性疼痛に伴う突出痛も臨床的には数多くあります。神経障害性疼痛は、多くの場合治療が難しく、鎮痛薬の他に鎮痛補助薬の投与や神経ブロックが必要となる場合も多くあります。
 こういった場合には「我々痛み治療の専門家」に相談して頂いたうえで、使用薬剤や治療を一緒に考えていくことが必要になります。
 また、ある日突然に発生する突出痛のなかには、オンコロジーエマージェンシー(oncology emergency)と一般的に呼称される脊髄圧迫による痛みや病的骨折、感染症、消化管閉塞や穿孔などを原因とする場合があります。
 このため、主治医が独断で判断するのではなく、必ず多くの周辺の専門医と相談し、注意深く原因を評価していくことが必要です。

 次に、突出痛の痛みの評価ですが、痛みのパターンや強さ、部位、性状、定期投与薬とレスキュー・ドーズの効果、増悪因子と軽快因子などをまず評価します。そして、突出痛の分類に準じた治療法で対処していくことになります。
 この突出痛の分類についてですが、通常、定期投与のオピオイド鎮痛薬で疼痛がコントロールされているがん患者さんは、持続的ながん疼痛をコントロールするのに必要な鎮痛薬の血中濃度が常に必要な濃度に保たれている状態にあるといえます。
 しかし、実際には、コントロールされていても痛みの強さは、1日のうちでも多少は変動しますし、当然、鎮痛薬の血中濃度も、投与直後や次の鎮痛薬投与直前など、吸収と代謝の影響で変動します。


定期投与の鎮痛薬だけではコントロールできない突出痛のある状態とレスキューの関係

 そのため、ときには、増強した痛みをコントロールするのに必要な血中濃度が維持できない状態がときに生じ、これを突出痛として患者は痛みを訴えることになります。
 この増強する痛みの原因は、

    @ 体動に伴うなどの予測できる突出痛である場合
    A 原因不明の予測できない突出痛である場合
    B 定期投与の鎮痛薬の切れ目に生じる場合

などです。


レスキュー・ドーズによりコントロールされた突出痛

 体動に伴うなどの予測できる突出痛である場合は、予防的にレスキュー・ドーズを投与することで、コントロールに必要な鎮痛薬の血中濃度を上げて、痛みに対応できます。


予測できずに生じる突出痛

 予測できない突出痛に対しては、発症後可能な限り早くレスキュー投与を行うか、後ほどお話するフェンタニルクエン酸塩口腔粘膜吸収製剤のような即効性オピオイドの投与を考慮します。定期投与の鎮痛薬の切れ目に生じる場合は、定期投与量の増量や投与間隔の短縮、レスキュー・ドーズを投与することで対応します。また、神経障害性疼痛による突出痛は、定期投与のオピオイドの増量やレスキューで対応が困難な場合が多く、鎮痛補助薬である抗うつ薬、抗痙攣薬、ときにはNMDA受容体拮抗薬などの定期投与やレスキュー使用などが必要になります。先に述べたように、これらの薬剤は副作用も多く、かなり専門的な対応が必要となります。できるだけ早期から「我々痛み治療の専門家」に相談することをお勧めします。


定期投与の鎮痛薬の絶対量が不足していることによる突出痛

 予測できない突出痛に対しては、発症後可能な限り早くレスキュー投与を行うか、後ほどお話するフェンタニルクエン酸塩口腔粘膜吸収製剤のような即効性オピオイドの投与を考慮します。定期投与の鎮痛薬の切れ目に生じる場合は、定期投与量の増量や投与間隔の短縮、レスキュー・ドーズを投与することで対応します。また、神経障害性疼痛による突出痛は、定期投与のオピオイドの増量やレスキューで対応が困難な場合が多く、鎮痛補助薬である抗うつ薬、抗痙攣薬、ときにはNMDA受容体拮抗薬などの定期投与やレスキュー使用などが必要になります。先に述べたように、これらの薬剤は副作用も多く、かなり専門的な対応が必要となります。できるだけ早期から「我々痛み治療の専門家」に相談することをお勧めします。

 

提供 : 株式会社スズケン



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