→ 番組表はこちら
→ストリーミング版はこちら
<スズケンDIアワー> 平成23年2月10日放送内容より スズケン

がん突出痛治療用口腔粘膜吸収剤 フェンタニルクエン酸塩


京都府立医科大学緩和医療学講座 教授
細川 豊史

icon フェンタニルクエン酸塩口腔粘膜吸収製剤について

 さて最後に、2010年10月27日に製造承認がおりました“フェンタニルクエン酸塩口腔粘膜吸収製剤”についてお話します。

フェンタニルクエン酸塩 口腔粘膜吸収製剤の構造及び吸収システム

 現在本邦においては、フェンタニルの注射薬以外のレスキュー製剤はなく、フェンタニルパッチを使っている患者のレスキューにはモルヒネ、オキシコドンの速放製剤を使っていました。
 この“フェンタニルクエン酸塩口腔粘膜吸収製剤”が発売されますと、日本でもようやくフェンタニル、モルヒネ、オキシコドンの徐放製剤にマッチしたレスキュー製剤がすべて使用できるようになるわけです。
 “フェンタニルクエン酸塩口腔粘膜吸収製剤”は、国内初のがん性突出痛専用の治療剤で、口腔粘膜から吸収させる薬剤です。薬剤部分を長さ約10cmの持ち手の先の部分に取り付けた製剤で、棒付き飴のような非常にユニークな形状をしています。
 薬剤部分を頬と歯茎の間に含み、口腔粘膜上で15〜30分を目安に溶かして吸収させることになります。
 口腔粘膜から吸収する製剤ですので、効果発現時間が非常に早いというのが大きな特徴です。


速放性オピオイドの特徴

 既存の内服のモルヒネやオキシコドンのレスキュー製剤は効果発現までに約15分〜20分程度かかりましたが、フェンタニルクエン酸塩口腔粘膜吸収製剤は5分〜10分で効果が現れます。
 徐放製剤とレスキュー製剤は同じ種類の麻薬を使うというのが一般的ですが、これだけ効果発現時間が早いのであれば、フェンタニルパッチのレスキューとしてだけではなく、モルヒネやオキシコドンのレスキューとしても使える可能性が当然あります。
 先ほど、突出痛についてお話しましたが、突出痛は発症が急で、持続が短いというのが一般的な特徴です。
 特に発生が予測できない突出痛については、このような時間的特性が顕著であり、従来の経口速放製剤では、その薬物動態と突出痛の痛みの発現パターンにずれが生じ、十分に対応できない場合がよくあります。欧米では、このような突出痛にはROO(rapid onset opioid)と呼ばれる効果発現が早く、持続時間が短い製剤がすでに臨床使用されています。
 本剤は、わが国で初めてのROO製剤として製造販売承認を取得され、発売が待たれますが、その発売は今年春頃の予定と聞いています。


icon まとめ

 がん疼痛は、持続痛だけでなく、突出痛を伴うことが多いのです。この突出痛がうまくコントロールされていないと患者さんのQOLは著しく障害されます。
 突出痛のコントロールのためには、突出痛の原因の評価と原因別での対応、また痛みの評価と分類による対応などが必須となります。このため、レスキューの投与だけでなく、放射線治療や外科的・整形外科的治療、神経ブロックや鎮痛補助薬の使用など、より専門的な治療が必要となることも多いわけです。
 このことを理解し、個々の症例に個別に対応し、突出痛をうまくコントロールすることにより、がん疼痛患者の苦しみが少しでも救われることを祈念し今日の話を終わらせていただきます。

 

提供 : 株式会社スズケン



前項へ 1 2 3