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<スズケンDIアワー> 平成23年2月17日放送内容より スズケン

新薬の薬価算定根拠(33)


日本大学薬学部薬事管理学 教授
白神 誠

icon サイビスクディスポ関節注

 有効成分は、ヒアルロン酸ナトリウム架橋処理ポリマーとヒアルロン酸ナトリウム架橋処理ポリマービニルスルホン架橋体を容量比8:2で混合したもので、ジェンザイム・ジャパンの開発です。ヒアルロン酸ナトリウム架橋処理ポリマーとヒアルロン酸ナトリウム架橋処理ポリマービニルスルホン架橋体は、関節液の補填を薬理作用とし、「保存的非薬物治療及び経口薬物治療が十分奏効しない疼痛を有する変形性膝関節症の患者の疼痛緩和」を効能・効果とします。薬価算定は、同様の効能・効果等を持つ類似薬がないことから、原価計算方式により行われました。営業利益率は、平均的な営業利益率である19.2%とされました。


icon オレンシア点滴静注用

 有効成分は、遺伝子組換えのアバタセプトでブリストル・マイヤーズの開発です。アバタセプトは、T細胞選択的共刺激調節作用を有し、「既存治療で効果不十分な場合の関節リウマチ」を効能・効果とします。薬価算定は、効能・効果等が類似する遺伝子組換えのエタネルセプトの製剤であるファイザーのエンブレル皮下注を比較対照薬に類似薬効比較方式(I)で行われました。ただし、比較対照薬の1日薬価は、厚生労働省研究班により行われた最近の大規模調査結果を基に、また本剤の1日薬価は、国内第V相長期継続投与試験の加重平均使用量を基に算出されました。本剤は、新規の作用機序を有し、また、海外の臨床試験で、他の腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬不応例に対しても有用性が示されており、また海外長期投与試験においては、効果の持続性が示されていることから、「臨床上有用な新規の作用機序を有する」と考えられ、有用性加算(U)が適用されました。ただし、国内においてTNF阻害薬不応例を対象とした試験は実施されていないことから、限定的な評価とされています。


icon アブラキサン点滴静注用

 有効成分は、パクリタキセルで大鵬薬品工業の開発です。パクリタキセルは、微小管機能阻害作用を有し、「乳癌」を効能・効果とします。同一有効成分、同様の効能・効果及び同一の投与経路を有する製品が薬価収載後10年以上経過しており、かつ、後発品が収載されていることから、薬価算定は、原価計算方式により行われました。本剤の営業利益率の算出にあたっては、本剤は製剤工夫を行ったことにより、過敏症等の回避のための前投与の不要化や投与時間の短縮等に加え、点滴セットの材質を考慮する必要がないことから、既収載品に比べ、安全性の面から、臨床上の有用性が高いと考えられるものの、本剤と同一効能、有効成分、投与経路の既収載品があることから、限定的な評価とされ、平均的な営業利益率プラス10%の営業利益率、すなわち21.1%を用いることとされました。


icon トーリセル点滴静注液

 有効成分は、テムシロリムスで、ファイザーの開発です。テムシロリムスは、腫瘍細胞増殖抑制作用及び血管新生抑制作用を有し、「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」を効能・効果とします。薬価算定は、同様の効能・効果等を持つ類似薬がないことから、原価計算方式により行われました。営業利益率は、平均的な営業利益率である19.2%とされました。


 以上のほか、テルミサルタンとアムロジピンベシル酸塩の配合剤である日本ベーリンガーインゲルハイムのミカロム配合錠とパズフロキサシンメシル酸塩の製剤である富山化学工業のパシル点滴静注液及び田辺三菱製薬のパスクロス点滴静注液を加えた12成分15品目は、昨年(平成22年)9月8日の中医協総会で審議され、9月17日に薬価基準に収載されました。

 

提供 : 株式会社スズケン



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