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<スズケンDIアワー> 平成23年2月24日放送内容より スズケン

添付文書の中の副作用(26)電解質酸塩基平衡異常 その1


帝京大学名誉教授
清水 直容

icon トランスポーターとその構成要素

 次にトランスポーターについてお話ししたいと思いますが、これはキャリアによると考えられます。チャネル輸送とは異なるメカニズムによって、チャネル輸送に比べて遅いのがキャリアの輸送です。

トランスポートソームとその構成要素を挿入

 細胞膜存在の運び屋であるキャリアは、チャネルと同様に膜を複数回貫通する大型のたんぱく質です。キャリアによっては、同時に二つ以上の溶質輸送を共役的に行うのですが、それらを同じ方向に輸送するものはシンポーターと呼ばれ、逆方向に輸送するものはアンチポーターと呼ばれます。溶質の輸送キャリアはユニポーターと呼ばれます。糖やアミノ酸の輸送体、ナトリウム、水素イオンの交換輸送体やナトリウム、カリウム、クロール共輸送体などがこれで、体液調節に重要であります。
 ポンプという名称は、膜の輸送たんぱく質でありますが、自由エネルギーがATPの水解エネルギーで補われるので、ポンプ活性は細胞の代謝活動に大きく依存しているのです。細胞を低温または低酸素条件に置くか、細胞に代謝阻害剤を与えると、このポンプ輸送は著しく抑制されます。細胞膜における電子伝達複合体やバクテリオドロプシンを除くポンプたんぱく質は、ATP分解酵素活性を持っており、形質膜のナトリウムイオン、カリウムイオンの交換ポンプの実態は、ナトリウムとカリウムで活性化されるATPAseです。タイト結合の帯の本数も多く、密着性の高い上皮はタイト上皮と呼ばれ、胃、大腸、それから今回関連します腎の遠位尿細管や集合管がこれに属するとされています。
 これに対して、密着性が低く傍細胞経路の電気的コンダクタンスが経細胞経路に比較して圧倒的に高い上皮はリーキー上皮と呼ばれ、腎臓では近位尿細管がこれに属します。最近では、細胞間隙のタイト結合を構成する分子が明らかにされており、特に腎のHenleの上行脚に特異的に発現するclaudin16の遺伝子変異がヒトの常染色体劣性遺伝形式をとると、低マグネシウム血症の原因とされています。
 前にお話ししましたが、偽性の低アルドステロン血症U型の原因遺伝子として、WNK4が同定されました。この分子はタイト結合部位に発現するリン酸化酵素で、実際にclaudinその他のタイト結合構成成分をリン酸化することによって、タイト結合を経由する物質輸送を調節すると報告されています。

 水電解質につきましては、今後お話をさせていただきますが、これらの遺伝子の検査が、医薬品の投与により起こった場合には、鑑別診断として必要になろうかと思っております。

 

提供 : 株式会社スズケン



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