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<スズケンDIアワー> 平成23年3月3日放送内容より スズケン

直接トロンビン阻害経口抗凝固薬 ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩


東京女子医科大学神経内科学 教授
内山 真一郎

icon 新しい抗凝固薬の登場

 このように使用しにくかったワーファリンに代わりうる画期的な薬剤が登場しました。それが、本日御紹介する経口の直接的トロンビン阻害薬ダビガトランです。

新しい抗凝固薬

 ダビガトランは、血液凝固カスケードのうちのトロンビンという血液凝固因子に結合して、その作用を阻害する直接的なトロンビン阻害薬ですので、遺伝子の制御を受けないため、抗凝固活性の個人差がなく、血液凝固検査によるモニターが必要なくなります。また、ビタミンKによる影響を受けないので、ビタミンK摂取制限をする必要がなくなります。また、緑黄色野菜の摂取も制限する必要がありません。このように、ダビガトランは食生活のQOL向上や骨粗鬆症の観点からも副次的効果が期待できます。
 このダビガトランの有効性と安全性を高リスクの心房細動患者においてワーファリンと比較する大規模な国際共同研究による臨床試験が日本も参加して行われました。RELYという大規模試験でした。この試験には、脳卒中・一過性脳虚血発作・全身性塞栓症の既往、左室駆出率40%未満、症候性心不全、75歳以上のいずれかの危険因子を有するか、65歳以上の糖尿病、冠動脈疾患、高血圧のいずれか1つ以上の危険因子を有する非弁膜症性心房細動18,000例以上が登録されました。これらの症例を無作為割り付けし、150mgの高用量か110mgの低用量のダビガトランか、ワーファリンが投与されました。ワーファリンはINR2〜3の治療域で用量を調節しましたが、70歳以上の日本人ではガイドラインにしたがってINR2.0〜2.6の治療域で用量を調節しました。有効性の主要評価項目は、出血性脳卒中を含む全脳卒中と全身塞栓症でした。安全性の主要評価項目は出血イベント、肝機能障害、その他の有害事象でした。観察期間は中央値が2年でした。


主要評価項目

 脳卒中または全身塞栓症の発症率は、1日150mg×2回投与のダビガトラン高用量群でワーファリン投与群より有意に低く、1日110mg×2回投与のダビガトラン低用量群でワーファリン投与群と同等でした。


大出血の発現率

 一方、重大な出血性合併症の発現率は、低用量のダビガトラン投与群でワーファリン投与群より有意に低く、高用量のダビガトラン投与群でワーファリン投与群と同等でした。


出血性脳卒中の発症率

 また、抗凝固療法で最も懸念される脳出血の発症率は、いずれの用量のダビガトラン投与群でもワーファリン投与群よりはるかに低かったのです。この成績は2009年に欧州心臓学会で発表されるとともに、New England Journal of Medicineに発表され、大きな反響をもたらしました。

 

提供 : 株式会社スズケン



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