→ 番組表はこちら
→ストリーミング版はこちら
<スズケンDIアワー> 平成23年3月10日放送内容より スズケン

NMDA受容体拮抗アルツハイマー型認知症治療薬 メマンチン塩酸塩


国立長寿医療研究センター病院内科総合診療部 部長
遠藤 英俊

icon メマンチン塩酸塩の開発

 この3月から使用が認められるメマンチン塩酸塩は、NMDA受容体拮抗を作用機序としております。適用は中等度及び高度のアルツハイマー型認知症で、その進行抑制が効果として認められています。
 メマンチン塩酸塩はドイツで開発されました。これまでに海外では2002年頃からヨーロッパ、アメリカで順次使用を開始され、その経験も報告され、論文もたくさん出ています。
 このメマンチン塩酸塩は、各種の試験により選択的なNMDA受容体拮抗作用を有し、受容体に対して低親和性で、結合及び解離速度が速く、その作用は膜電位依存性を示す特徴を有すること、さらに生理的なグルタミン酸神経活動には影響せずに、過剰なグルタミン酸による神経細胞毒性及び記憶、学習に深く関与する長期増強(long-term potentiation;形成障害)に対して抑制作用を有することが示されました。また、学習障害モデルでも、有用な学習障害抑制作用が認められています。 メマンチン塩酸塩は、2002年にヨーロッパ医薬品庁、2003年にはFDAによりアルツハイマー型認知症を適用として承認されています。中等度と高度のアルツハイマー型認知症は適用になっていますが、一部軽度にもトライアルされているという報告はあります。
 今回、本邦においても用量設定試験、二重盲検比較試験などを終え、臨床試験が行われた上で本剤の有効性と安全性が承認されています。中等度及び高度アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制が効能・効果で承認を得ております。

icon メマンチン塩酸塩の作用機序

 メマンチン塩酸塩の薬効・薬理についてお話をしたいと思います。
 アルツハイマー型認知症では、グルタミン酸神経系の機能異常が関与しておることは昔から報告されています。グルタミン酸受容体のサブタイプであるNMDA(NメチルDアスパラ銀酸受容体チャンネル)の過剰な活性化が原因の一つと考えられています。
 メマンチン塩酸塩は、NMDA受容体チャンネルの活性化によって生じる電流に対して、膜電位依存性の阻害作用を示します。その作用の発現及び消失は速やかです。また、持続的なNMDA受容体の活性化は、シナプティックノイズが増大した状態では、LTPのようなシナプス可塑性変化を誘導する伝達シグナルがノイズに隠れ、情報が伝わりにくくなることが知られています。
 メマンチン塩酸塩はシナプティックノイズを解消し、正常なシナプス可塑性変化の誘導を濃度依存的に回復します。また、NMDA受容体チャンネル阻害作用のIC50値付近ではほとんど影響しなかったことから、認知機能改善作用を示すと考えられています。

 以上、基礎的にはメマンチン塩酸塩はNMDA受容体拮抗作用によって、神経細胞保護を期待され、さらに記憶学習障害抑制作用を有することを示していました。

 

提供 : 株式会社スズケン



前項へ 1 2 3 次項へ