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<スズケンDIアワー> 平成23年3月10日放送内容より スズケン

NMDA受容体拮抗アルツハイマー型認知症治療薬 メマンチン塩酸塩


国立長寿医療研究センター病院内科総合診療部 部長
遠藤 英俊

icon メマンチン塩酸塩の臨床成績

 次に、メマンチン塩酸塩の臨床試験についてお話をします。

 国内第V相臨床試験では、中等度から高度アルツハイマー型認知症患者のうち、MMSEスコア5点から14点を患者対象として検討されました。この432例を対象にした検討では、本剤20rを投与することによって、プラセボと対照に24週間投与する検討を行っております。
 認知機能を評価するSIB−Jにおいて、24週後評価のプラセボ群とメマンチン塩酸塩20rとのスコア変化量の差は4.53点でした。また、SIB−Jのスコア変化量の経時的推移でも、メマンチン塩酸塩20r錠においては24週間にわたってプラセボ群を上回っています。
 全般的臨床症状を評価するModified CIBIC plus-Jの投与24週間後評価においても、メマンチン塩酸塩は20r錠において、プラセボに比べて0.11上回る傾向が認められました。Modified CIBIC plus-Jの下位尺度であるBehave-ADでは、最終評価においてプラセボ群とメマンチン塩酸塩の間に有意な差が認められています。これによって、メマンチン塩酸塩の行動・心理症状(BPSD)に対しても有効性が示されています。
 副作用発現については、両群間の差異は認められませんでした。
 副作用としては、メマンチン塩酸塩は、目まい、消化器症状、便秘等がありますが、他の薬剤に比べて約10分の1程度の発生率と報告されています。
 海外、特にアメリカにおいて、メマンチン塩酸塩投与を6カ月以上受けている中等度から高度アルツハイマー型認知症患者の報告においても、やはりプラセボ群に比較して有意な効果は認められ、特にSIB値スコア変化量において有効な成績を得ています。同様に、CIBIC-plusの最終時変化においても、プラセボ群に比べて0.25上回っています。
 この報告においては、カミングらによって、行動・心理症状(BPSD)に対して追加検討されています。その結果、メマンチン塩酸塩は他剤に比較し行動・心理症状(BPSD)を評価するNPIスコアにおいて、プラセボに比べて興奮・攻撃性、易刺激性、食欲変化においても進行抑制効果を示しました。
 メマンチン塩酸塩は単独投与のほか、ドネペジル塩酸塩への追加投与、併用が認められていますが、この併用においても、認知機能に対する有効性、行動・心理症状への進行を遅らせる効果、低下させる効果が認められます。これらの結果から、メマンチン塩酸塩単独もしくは併用においても、非常に期待でき、有害事象が少ないことも特徴ではないかと思っています。

icon まとめ

 メマンチン塩酸塩は、世界で唯一、NMDA受容体拮抗を作用機序とするアルツハイマー型認知症治療薬です。副作用が少ないこと、過剰なグルタミン酸によるNMDA受容体の活性化を抑制すること、そして特に神経細胞を保護する作用が期待されます。適用症状としては中等度、高度のアルツハイマー型治療ですが、単独であれ、併用療法であれ、他の薬剤との協調作用を、私どもは期待しております。

 

提供 : 株式会社スズケン



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