認知症介護研究・研修東京センター センター長 本間 昭
認知症治療の現況
今年(2011年)1月21日に2つの新たな抗認知症薬2つの製造承認申請が認められました。3月から臨床で使用できます。現在、抗認知症薬としてアルツハイマー型認知症の治療では唯一ドネペジル塩酸塩が用いられています。現在、認知症の人数は250万人とも推定されています。少なくともそのなかの6割はアルツハイマー型認知症と考えられています。しかし、この人たちのなかのどの程度の割合が適切に診断され、治療を受けることができているのかというデータはありません。国外の結果からみると、半数にはとても満たない状況ではないでしょうか。数からすれば、高血圧症や糖尿病に比べれば一桁少ない人数になりますが、もっとも異なる点は、もの忘れがひどくなったと本人が感じたときに、自分から医療機関を受診する人はきわめて少ないということです。早期の診断、治療が予後に大きく影響することは他の疾患とまったく同様です。介護保険が始まり10年以上経ちました。認知症サポーターの数も100万人を突破したとはいえ、まだまだ認知症に関する認識は十分ではありません。医療機関を受診するタイミングが遅くなってしまう大きな要因になります。

数年前に行われた全国規模の意識調査ですが、認知症に早期に関わる機会がもっとも高い「かかりつけ医」に認知症の医療の意味が充分に理解されていないことを示唆する結果も示されています。国は平成17年からは認知症サポート医養成研修を、平成18年からは認知症の増加に伴う「かかりつけ医」の認知症対応力向上研修を始めています。老年精神医学会や認知症学会の専門医に加えて、これらの研修の修了者の名簿が公表されれば、早期に身近な医療機関を受診できる機会が増えることになります。
|