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<スズケンDIアワー> 平成23年3月24日放送内容より スズケン

アセチルコリンエステラーゼ阻害 アルツハイマー型認知症治療薬ガランタミン臭化水素酸塩


認知症介護研究・研修東京センター センター長
本間 昭

icon 新しい抗認知症薬の作用機序

世界で使用されている認知症治療薬

 3月からはこのような状況で3種類のアルツハイマー病の治療薬を使うことができます。 新しい2つの抗認知症薬の1つは、ガランタミン(商品名レミニール)といいます。基本的には同じ作用機序、つまりアセチルコリンの分解酵素を阻害し、間接的にシナプス間隙のアセチルコリンの量を増やします。適応は軽度から中等度のアルツハイマー型認知症になります。従来の抗認知症薬と異なる作用機序として、もう1つ、ニコチン受容体に対する刺激作用があります。このdual action といわれる作用機序が特徴です。そのためにより効果が持続するといわれています。もう1つの抗認知症薬は記憶や学習あるいは脳虚血などに関係するNMDA型のグルタミン酸受容体に結合し、その働きを抑制することにより神経細胞の過剰な興奮による細胞死を防ぎます。適応は中等度から高度のアルツハイマー型認知症です。ガランタミンの副作用に関しては、従来のアセチルコリン分解酵素阻害薬でみられた消化器系の症状、つまり嘔気や嘔吐あるいは下痢や食欲の低下といった同様の症状がみられますが、漸増法で用いる、あるいは極端に体重が低い人には慎重に用いることなどに注意すれば副作用を最小限にできます。


icon アルツハイマー型認知症の重症度分類

 アルツハイマー型認知症の重症度について、若干説明をしておきます。

アルツハイマー型認知症の重症度分類

 この病気になると、ふだんの生活を送る中で様々な支障や不自由さがみられます。おおまかには軽度、中等度、高度に分けられます。長谷川式などの点数で分けることができる場合もありますが、点数はそのときの本人の気分や調子などによって変化することが多いため、日常生活上の状況で判断する方法が一般的です。少し乱暴な分け方になりますが、何か支障や不自由さがあっても、声をかけるだけで、具体的に手を貸さなくて済む段階が軽度、日常生活上のいくつかの事柄について声をかけるだけではなく具体的に手をかさなければいけない段階が中等度、日常生活のすべての場面で手をかさなければならない段階が高度になります。具体的には、何回も同じことを言ったり、聞いたり、買い物で同じものをいつも買ってきてしまう、あるいは料理の味付けが前よりも塩辛くなったり、いつも同じ服を着ていたり、いままで積極的にやっていた趣味や日課をしなくなるということがあっても、声をかけるだけで済む場合がほとんどでしょう。この段階が軽度です。ガランタミンは従来の抗認知症薬と同様に、診断できればこの段階から使うことができます。軽度の段階は進行速度が相対的にゆっくりですが、中等度になると、寒くても薄着のままでいたりなど天候にあった服装ができなくなる、いままでできていた料理の手順が不確かになったりします。服薬も難しくなります。具体的に介護者や家族が手を貸さなければならない場面がでてきます。この段階が中等度です。
 軽度の段階から医療機関にかかっていれば介護者も病気の理解や対応方法あるいは日常生活で気をつけることなど、主治医をはじめとしてさまざまなところで学んだりする機会が多くあります。しかし、中等度と考えられる重症度になってから医療機関を受診することも少なくないでしょう。中等度の、つまり10段階評価で言えば、4とか5とか6という段階ですが、アルツハイマー型認知症であることを介護者や家族が受け入れることができているとは限りませんし、介護者である配偶者が高齢であったりすれば尚更、病気のことを理解することは難しくなることが多いでしょう。そのような場合であっても、服薬状況の確認をぜひお願いします。軽度であったとしても、服薬カレンダーで管理するのが無理な場合があります。目の前に薬をおいて、飲んでおいてくださいね、というだけは不十分です。本人がきちんと服薬したかどうか最後まで確認することが必要です。

 

提供 : 株式会社スズケン



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