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<スズケンDIアワー> 平成23年4月7日放送内容より スズケン

キサンチンオキシダーゼ阻害痛風・高尿酸血症治療薬:フェブキソスタット


東京女子医科大学膠原病リウマチ痛風センター 教授
山中 寿

icon 病態と疫学

 痛風は激しい痛みを伴う関節炎を生じる疾患として有名ですが、関節内に尿酸ナトリウムの結晶が沈着することにより起こります。血液中の尿酸濃度が上昇する高尿酸血症は生活習慣病のひとつですが、痛風結節、尿路結石、腎障害なども生じます。これらは、長期にわたって溶けきれない尿酸塩が結晶として組織に沈着した結果として生じます。
 また、高尿酸血症は、メタボリックシンドローム、高血圧、脂質異常症、糖尿病などの他の生活習慣病や慢性腎臓病(CKD)を高頻度に合併し、徐々に動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や脳梗塞などの心血管疾患のリスクを高めます。すなわち、高尿酸血症や痛風は一定の遺伝的背景をもとにライフスタイルの変化により発症率が増加する生活習慣病の典型であると言えます。
 痛風と高尿酸血症の研究や臨床に関しては、日本は世界をリードする立場にあり、日本痛風・核酸代謝学会では、治療の標準化を推進するために、“高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン”を2002年に発行し、2010年に改訂版を出版しました。ぜひご一読ください。

icon 高尿酸血症の治療

痛風関節炎の発症率

 高尿酸血症の治療は、蓄積した尿酸の結晶を溶解して除去し、痛風関節炎の再発や発症を防止することで、そのためには尿酸降下薬により、血中尿酸値を尿酸塩結晶の体液中溶解度である7.0mg/dLよりも低い6.0mg/dL以下に低下させ、維持することが重要です。平均血中尿酸値を6.0mg /dL未満に維持すると発痛風発作の発生率が20%未満まで低下します。特に痛風関節炎を繰り返す症例や痛風結節を認める症例は、プリン体の摂取制限などの生活指導だけでは体内の尿酸蓄積を解消することは難しく、薬物治療により血中尿酸値を6.0mg/dL以下に維持することが推奨されます。これが痛風・高尿酸血症治療におけるTreat to Targetです。
 さらに、痛風関節炎を発症していない高尿酸血症でも、血中尿酸値が8.0mg/dL以上、特に9.0mg/dLを超えた場合は将来の痛風関節炎の発症率が有意に高いことが示されていますので、血清尿酸値が一定レベル以上では痛風関節炎の発症予防を目的として治療すべきです。
 また、高尿酸血症とメタボリックシンドロームの合併率は高いのですが、これらの合併症を有する症例において尿酸が心血管障害のリスクを高めることは観察研究では証明されているものの、介入試験によるエビデンスは十分とは言えません。今後の介入試験によるエビデンスの確立が期待されますが、現時点では、状況に応じて薬物治療を考慮するのがよいでしょう。
 尿酸降下薬により継続的な治療を開始し、血清尿酸値を6.0mg/dL以下に長期間維持することにより、痛風関節炎の発生は減少します。また、尿酸降下薬による治療により、高尿酸血症に合併するCKDの進展抑制などのエビデンスも増えてきました。高尿酸血症治療の意義はますます重要になっていると言えます。
 さて、尿酸降下療法の導入時に一つ注意が必要なことがあります。それは、血清尿酸値の急激な降下が痛風発作の誘発を起こす可能性で、臨床的には注意が必要です。これは、関節内に沈着した尿酸ナトリウムの結晶が尿酸濃度の低下により溶け出してくるために生じる現象で、どの患者さんでも起こりますが、長期間、血清尿酸値を放置した例ほど起こりやすいことが知られています。
 この発作の誘発を防止するためには、血清尿酸を徐々に降下させることが重要で、尿酸降下薬を少量から開始し、維持用量まで徐々に増量することで防止できます。今一つの方法は、低用量コルヒチンの併用です。いずれにしても血清尿酸値を適切に維持し続けることが高尿酸血症治療の最も大切な点であり、患者教育も重要なポイントです。

 

提供 : 株式会社スズケン



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