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<スズケンDIアワー> 平成23年4月14日放送内容より スズケン

骨粗鬆症治療用活性型ビタミンD3誘導体製剤 エルデカルシトール


虎の門病院内分泌センター 部長
竹内 靖博

 本日は、骨粗鬆症治療薬として新しく登場した活性型ビタミンD3誘導体製剤であるエルデカルシトールについて、その特徴と臨床的有効性についてお話しをさせていただきます。

icon 骨粗鬆症の病態とビタミンDの役割

 まず初めに、ビタミンDの代謝について簡単に復習してみたいと思います。ビタミンDは紫外線を浴びることにより皮膚で合成されます。また、動物由来のビタミンD3あるいは植物由来のビタミンD2が、食物中の栄養素として体内に取り込まれます。これらのビタミンDはそれ自身は生理活性を持っておりませんが、肝臓でビタミンD基本骨格の25位に、そして腎臓で1位に水酸基が付加されることにより、ホルモンとしての生理活性をもつ1,25水酸化ビタミンD、すなわちカルシトリオールに代謝されます。このような活性型の1,25水酸化ビタミンD3の前駆体であるアルファカルシドールは、1980年代から今日まで、骨粗鬆症の治療薬として広く用いられてまいりました。

骨粗鬆症の発症機序と活性型ビタミンDの役割

 次に、骨粗鬆症の病態と、その治療におけるビタミンDの役割について簡単にまとめてみたいと思います。骨粗鬆症は、加齢に伴う様々な要因が複合的に骨に影響することによりもたらされる疾患です。その主な原因は、閉経に伴うエストロゲンの欠乏であり、さらにそこにカルシウム代謝異常が加わることで病態が悪化し、骨粗鬆症が発症いたします。加齢に伴うカルシウム代謝異常をさらに具体的に検討してみますと、腸管からのカルシウム吸収障害と腎臓でのビタミンDの活性化障害というふたつの問題が重要であると考えられます。このような障害によって、続発性に副甲状腺ホルモン分泌の亢進がもたらされると同時に、生体のカルシウムバランスがネガテイブに傾くという結果がもたらされます。すなわち、副甲状腺ホルモンの分泌亢進は、骨からのカルシウム動員を促進し、骨粗鬆症を悪化させます。また、カルシウム吸収障害とビタミンDの活性化障害により、カルシウムの供給不足が生じるため、骨形成が不十分になります。骨粗鬆症の病態を、骨吸収と骨形成のバランスの破綻、という視点から見ますと、エストロゲンの欠乏と副甲状腺ホルモンの過剰は骨吸収の亢進をもたらし、カルシウムの骨への供給不足は骨形成の低下をもたらすことになります。
 現在、骨粗鬆症の治療薬としては、骨吸収を直接に抑制するビスホスホネートや骨でのエストロゲン作用の低下を代償するSERMに加えて、加齢に伴うカルシウム代謝障害を改善するアルファカルシドールなどの活性型ビタミンD3製剤が広く使用されています。しかしながら、既存の治療薬を十分に用いてもなお、骨粗鬆症患者さんに生じる骨折のおよそ半数は防ぐことができない、というのが現状です。そのため、さらに治療効果の高い薬剤の開発が強く求められています。

 

提供 : 株式会社スズケン



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