→ 番組表はこちら
→ストリーミング版はこちら
<スズケンDIアワー> 平成23年4月21日放送内容より スズケン

速効型インスリン分泌促進2型糖尿病治療薬 レパグリニド


川崎医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科学 教授
加来 浩平

icon 糖尿病治療の目標

 近年の糖尿病患者数の急速な増加は全世界的な問題であり、本邦においても例外ではありません。平成19年の国民健康・栄養調査では糖尿病が強く疑われる人、すなわちHbA1c 6.1%以上が約890万人、糖尿病の可能性が否定できない、HbA1c 5.6-6.0%が約1320万人であり、あわせて約2210万人が糖尿病あるいは予備軍と推定されています。2型糖尿病の主たる病態は、インスリン分泌不全とインスリン抵抗性にありますが、日本人は欧米人と比較して潜在的なインスリン分泌能が低いことは良く知られた事実です。欧米人に比し、日本人では肥満の程度は低く、軽度のインスリン抵抗性でもインスリン分泌能の弱さから糖尿病が顕在化しやすいといわれています。
 このように日本人2型糖尿病ではインスリン分泌能低下が病態形成に大きなウエイトを占めることから、薬物療法においては、インスリン分泌促進薬を使用するケースが、必然的に多くなり、事実、本邦では、スルフォニル尿素薬(SU薬)が繁用されています。一般に、SU薬は血糖低下作用が強く、治療効果も短期的には得やすいのですが、一旦、血糖改善がみられると、空腹感をきたすようになり、低血糖までいかなくても、過食の原因となり、体重増加をきたしやすいという弱点がみられます。すなわちSU薬の投与により血糖が一時的に改善しても、体重増加とともに臨床効果は薄れてくることはよく経験することです。その結果、インスリン需要が増大し、膵β細胞のオーバーワークから疲弊を惹起し、長期的なコントロール悪化、すなわち二次無効へと繋がっていく可能性があります。

糖尿病治療の目標

 一方、糖尿病治療の最終ゴールは、患者さんのQOLの維持と健康寿命の延長にあり、血管合併症の発症・進展防止、とりわけ心血管病を含む動脈硬化症の発症・進展抑制が当面の目的となります。その目的達成には、より早期からの介入が必要であることは、多くの大規模臨床試験結果からも明らかです。DCCT/EDICスタディにおけるmetabolic memoryあるいはUKPDSスタディにおけるlegacy effectが示す通りであります。

icon 2型糖尿病の病態

 2型糖尿病発症早期の病態の特徴をみてみると、インスリン抵抗性の増大に加えて、食後インスリン追加分泌の低下がみられます。これらは耐糖能異常、すなわち境界型の時点で既に、認められることが多く、糖尿病の発症にはインスリン追加分泌不全が必須であると言えます。従って、血糖異常はまず食後高血糖として現れ、早朝空腹時血糖の上昇は、ある程度、病態が進展してから顕在化してくると考えられます。一方、食後の一過性の高血糖が心血管疾患リスクの危険因子であることは、これまでの多くの疫学的研究から明らかであります。このような観点から、食後高血糖の管理が、糖尿病の血糖管理の上で、一つの重要なターゲットであることはいうまでもありません。
 本邦で使用可能な血糖降下薬の中で、食後血糖改善薬として位置付けられるものに、α-グルコシダーゼ阻害薬と速効型インスリン分泌促進薬いわゆるグリニド薬があります。前者は、一般名アカルボース、ボグリボース、ミグリトールの3製剤が広く臨床応用されているところです。一方、グリニド薬は、ナテグリニド、ミチグリニドが既に使用されていますが、この度、新規グリニド薬としてレパグリニドが、製造承認を受け、シュアポストの商品名で発売されようとしています。そこでこのレパグリニドについて、少し詳細に紹介したいと思います。

 

提供 : 株式会社スズケン



1 2 3 次項へ