→ 番組表はこちら
→ストリーミング版はこちら
<スズケンDIアワー> 平成23年5月12日放送内容より スズケン

乾癬治療薬 ウステキヌマブ(遺伝子組換え)


NTT東日本関東病院皮膚科部長
五十嵐 敦之

icon ウステキヌマブの臨床試験成績から

 ウステキヌマブはインターロイキン12と23の共通サブユニットであるp40に対する分子量148600Daの遺伝子組換えIgG1κ完全ヒト型モノクロール抗体で、マウスミエローマ細胞により産生されます。実はこの抗p40抗体はTh17の概念が明らかになる前から開発が始まっており、当初はインターロイキン12を標的としていましたが結果的にインターロイキン23も阻害することからTh1とTh17の両方を標的とすることができ、乾癬に優れた臨床効果が期待されました。
 本剤は2009年に北米と欧州で認可されましたが、本邦でも臨床試験が終了し、今年承認されました。

 既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬がその適応で、通常45mgを初回及びその4週後に皮下投与し、以後12週間隔で皮下注射しますが、効果不十分な場合は1回90mgを投与することができます。剤型は針刺し防止機能が付いたプレフィルドシリンジとなっており、冷蔵保存しているものを常温に戻して使用します。

海外臨床試験におけるPAS175達成率

 海外では大規模第Ⅲ相試験が2つ行われており、PHOENIXⅠ試験では、投与開始12週後のPASI75達成率(PASIスコアが前値と比較して75%以上改善した患者がどの位のくらいいたかを%で表したもの)がプラセボ群で3%に対して45mg投与群で67%、90mg投与群で66%おり、PHOENIXⅡ試験でも、プラセボ群で4%、45mg投与群で67%、90mg投与群で76%と、プラセボとは明らかに有意差を認めましたが、45mg群と90mg群では統計学的有意差は得られませんでした。しかし、体重が100kgを超える患者では90mg投与の方が高い効果が得られています。これらの試験に引き続いて行われた継続投与試験では28週後のPASI75達成率は12週後の値とほぼ同じであり、効果の減弱は認められませんでした。
 また、関節症性乾癬を対象とした無作為化比較試験でも有効性が示されています。
 乾癬以外では海外で多発性硬化症とクローン病に対して試験が行われていますが、多発性硬化症に対する有効性は残念ながら示すことができませんでした。その理由としては抗体製剤が脳血流関門を通過できない可能性が指摘されています。クローン病に対する有効性は示されたものの乾癬に比べて劣るものでした。海外での適応も現在のところ乾癬のみとなっています。

エタネルセプトとの比較試験成績

 生物学的製剤同士の比較試験は少ないですが、ウステキヌマブとエタネルセプト(本邦では関節リウマチのみに適応症を有する)との単盲験無作為化比較試験が海外で行われています。このACCEPT試験では、ウステキヌマブ45mgまたは90mgを0週、4週に投与した群とエタネルセプトを50mg週2回投与した群で、12週後の効果を比較しています。PASI75達成率はエタネルセプト群で57%であったのに対し、ウステキヌマブ45mg群では68%、90mg群では74%と有意差を認めており、PGAスコアが0もしくは1に減少した割合も同様の結果を得ています。注射部位紅斑の発生率もエタネルセプト14.7%に対しウステキヌマブは0.7%であったといいます。

 

提供 : 株式会社スズケン



前項へ 1 2 3 次項へ