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<スズケンDIアワー> 平成23年5月19日放送内容より スズケン

添付文書の中の副作用(27)電解質酸塩基平衡異常 その2


帝京大学名誉教授
清水 直容

 これまで、添付文書の中の副作用について話してまいりましたが、先回より4回にわたり、水・電解質異常についてお話をさせていただいております。その総論は前回お話ししましたが、本日はナトリウム、カリウム、クロールについて、医薬品使用後の症状、徴候、検査、若干ではありますが病態、そして添付文書にその記載のある医薬品、鑑別診断などについてお話しさせていただきます。


icon 高ナトリウム血症について

高ナトリウム血症

 高ナトリウム血症の症状は、患者の訴えとしては、のどが渇くとおっしゃいます。明らかな徴候としては、筋のけいれん、腱反射の上昇、昏睡、脳血管障害が起ったりします。血漿ナトリウム濃度正常値は、135-150mEq/Lですから、150 mEq/Lを超えると高ナトリウム血症という定義になります。
 病態としては、二つだけ申し上げますと、水分が減少しているのか、あるいはナトリウムが増加しているかです。水分の摂取が減少する場合は、意識障害や脳の病変によるのどの渇き、中枢の障害などにより、水を飲まなくなることが、そして逆に、水の排泄が増加してしまうための高ナトリウム血症は、腎臓性では尿崩症が、その他に糖尿病、腎不全、消化器関連では下痢、嘔吐など、皮膚では多汗、肺臓の関係では換気(呼吸が非常に荒く多くなる)などがあります。また、ナトリウムの過剰はナトリウム排泄の減少によるアルドステロン分泌増加に起因します。
 添付文書にこのような副作用の記載がある医薬品ですが、JAPICの2011年版によりますと、重大な副作用欄には商品名で7品目がありますが、一般名では1品目だけです。ただ、重大な副作用欄ではなく副作用欄で見ますと商品名で294品目、一般名では75品目になります。
 重大な副作用の中の記載例としては、抗アルドステロン薬(商品名ソルダクトン)の場合、カンレノン酸カリウムには0.1%に電解質異常として当然の高カリウム血症のほかに高・低ナトリウム、クロールとの記載もあります。そのほか、医薬品としては輸液、マンニトール、浸透圧利尿剤、高張食塩水、高ナトリウムによる血液透析、重曹の過剰投与、注射用剤(例えばホスホマイシン)にも記載はあります。
 鑑別診断としては、いろいろな病気がありますが、下垂体の前葉機能低下症や中枢性尿崩症で軽度な血清ナトリウムの上昇が見られることがあります。中枢性尿崩症の病因としては、脳内の腫瘍、炎症、血管性病変、リンパ球性漏斗部下垂体後葉炎などがあります。

 

提供 : 株式会社スズケン



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