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<スズケンDIアワー> 平成23年5月26日放送内容より スズケン

新薬の薬価算定根拠(34)


日本大学薬学部薬事管理学 教授
白神 誠

 前回の放送以降薬価基準に収載された新医薬品の薬価算定根拠について説明します。


icon イナビル吸入粉末剤

 成分は、ラニナミビルオクタン酸エステル水和物で、第一三共の開発です。ラニナミビルオクタン酸エステル水和物は、ノイラミニダーゼ阻害作用を有し、「A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の治療」を効能・効果とします。薬価算定は、効能・効果、薬理作用等が類似するザナミビル水和物の製剤であるグラクソ・スミスクラインのリレンザを比較対照薬に類似薬効比較方式Tで行われました。比較薬では1日2回5日間吸入するところ、本剤は単回のみの吸入で効果を示し、利便性を向上させるのみならず、服薬コンプライアンスの向上によって、より確実な治療の完結が可能となるため、「治療方法の改善」が認められることから有用性加算Uが適用されました。加算率については、総数で2,300症例以上、うち、日本人は小児約300症例を含む約2,000症例の規模の臨床試験を国内外で実施し、世界に先駆けて日本で開発したことは評価できるが、本剤と同一の薬理作用を有する薬剤は、内用薬及び注射薬を合わせると既に3成分あることから限定的な評価とされ、10%とされました。また、小児加算も適用されていますが、小児加算の加算率については、承認時の適応が成人に限られていた他の抗インフルエンザ薬とは異なり、承認当初から小児適応を有していることは評価できるものの、全インフルエンザ患者のうち小児が占める割合は高く、予測本剤投与患者数も相当数見込まれていることから、限定的な評価とされ、10%とされました。

 以上の1成分1品目は2010年9月29日の中医協総会で審議され、10月4日に薬価基準に緊急収載されました。


icon インヴェガ錠

 有効成分は、パリペリドンで、ヤンセンファーマの開発です。パリペリドンは、抗セロトニン作用及び抗ドパミン作用を有し、「統合失調症」を効能・効果とします。薬価算定は、効能・効果等が類似するリスペリドンの製剤であるヤンセンファーマのリスパダール錠を比較対照薬に類似薬効比較方式Tで行われました。これまでの類似薬では効果が現れる用量まで数週間かけて増量する必要があったところ、本剤は、製剤上の工夫により、投与開始時から効果が現れる用量での治療を可能としたことから治療方法の改善が認められると判断され、有用性加算Uが適用されました。加算率については、既存品と薬理作用や化学構造が類似しており、同系統の薬剤は既に数成分あることから、限定的な評価とされ、10%とされました。また、算定された薬価が外国平均価格の4分の3を下回ることから、引上げが行われています。。


icon サムスカ錠

 有効成分は、トルバプタンで、大塚製薬の開発です。トルバプタンは、バソプレシンV2-受容体拮抗作用を有し、「ループ系利尿薬等の他の利尿薬で効果不十分な心不全における体液貯留」を効能・効果とします。薬価算定は、同様の効能・効果、薬理作用等を持つ類似薬がないことから原価計算方式によって行われました。営業利益率については、心不全における体液貯留を有する患者に対して、既存の治療法では困難であった、塩類の排出を伴わない「水のみの利尿」を可能とした新規の作用機序を有すること等、本剤は既存治療に対する革新性等があると判断され、30%の加算、すなわち25.0%とされました。

 

提供 : 株式会社スズケン



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