東京医科大学老年病科教授 羽生 春夫
認知症とその病型
認知症とは、正常に発達した知的機能が後天的な脳の器質的障害により、持続的に低下し、日常生活や社会生活に支障を来した状態をいいます。

わが国における認知症高齢患者は2010年の統計で約200万人以上と言われており、今後も増え続けることが予想されています。65歳以上の高齢者における有病率を5歳ごとに区切ってみますと、加齢に伴ってそれぞれ2倍の有病率を示しており、全体では6.3%、85歳以上では27.3%の有病率と4人に1人の割合で認知症に罹患していると言われています。
老化による物忘れと認知症の物忘れはいくつかの違いがあります。老化による物忘れ、言い換えれば健康な物忘れは体験の一部を忘れることが特徴で、ヒントを与えられると思いだせるものです。例えば、「先日結婚式に出席したが、挨拶した人の名前を忘れた」というものです。物忘れに対しても自覚があります。一方、認知症の物忘れは体験全体を忘れます。先ほどの例でいえば、結婚式に出席したこと自体を忘れてしまうのです。その物忘れにも自覚がありません。認知症の物忘れは、新しい出来事を記憶できないという特徴があります。
認知症にはいろいろなタイプが存在しますが、日本の疫学調査によれば6割以上はアルツハイマー型認知症と言われています。次に多いのが脳血管性認知症ですが、アルツハイマー型認知症の半数近くはこの脳血管性認知症との合併例といわれています。また、最近ではレビー小体型認知症も注目されています。
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