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<スズケンDIアワー> 平成23年6月2日放送内容より スズケン

アセチルコリンエステラーゼ阻害 認知症治療用貼付薬 リバスチグミン


東京医科大学老年病科教授
羽生 春夫

icon リバスチグミンの作用機序

ADの主な治療薬

 現在、日本ではアルツハイマー型認知症に対して4剤が使用可能です。今年になって、ガランタミン、メマンチンが承認され、次いでリバスチグミンが承認されています。日本では、長くドネペジルしか治療薬がない環境でしたが、この3剤が使用可能になることで、認知症治療の選択肢が広がります。これは患者さんや介護者の方々への大きな福音と言えるでしょう。
 この4剤に関しては、国内の認知症ガイドラインによれば、4剤ともアルツハイマー型認知症に対して有効性を表す根拠があるとされており、推奨されています。今日はこの4剤のうちリバスチグミンを取り上げてお話ししたいと思います。

 リバスチグミン(商品名:イクセロン)はフェニルカルバメート系化合物のリバスチグミンを有効成分とする薬剤です。リバスチグミンは可逆的かつ強力なコリンエステラーゼ阻害作用を示す中枢移行性の高い物質として見出されました。その後、経口剤は高い有効性を示しながらも、コリンエステラーゼ阻害剤に共通する副作用として悪心、嘔吐等の消化器症状が頻繁に認められたことが課題になっていました。これらの副作用は経口投与時の高いCmaxに起因するものと考えられ、その後経皮投与を目的としたパッチの開発に至りました。
 リバスチグミンのパッチ剤は2007 年7月に米国で最初に承認され、その後EU等2011 年1月時点で世界82の国と地域で承認されています。米国をはじめとした数カ国ではパーキンソン病に伴う認知症に対しても適応症があります。日本では「軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症」で承認されています。 リバスチグミンパッチの作用機序を説明します。

アセチルコロインエステラーゼ阻害薬の作用部位

 健康な脳では大脳皮質においてコリンアセチルトランスフェラーゼによりアセチルコリンが産生され、コリン作動性神経に刺激が伝わるとシナプス前膜からアセチルコリンが放出され、シナプス後膜のアセチルコリン受容体に結合し、認知機能の維持に関わるシグナルが伝達されます。また、シナプス間隙に放出されたアセチルコリンはアセチルコリンエステラーゼやブチリルコリンエステラーゼにより酢酸とコリンに分解され、コリンはシナプス間隙に再取り込みされます。
 アルツハイマー型認知症ではコリンアセチルトランスフェラーゼの活性が顕著に低下しており、シナプス間隙に放出されるアセチルコリンのレベルが少なくなり、またコリンの再取り込みも低下しています。これら二つのコリンエステラーゼの活性も低下していますが、アセチルコリンレベルの低下によりコリン作動性神経の機能が低下しているといわれています。
 リバスチグミンパッチの有効成分であるリバスチグミンは様々な検討によりアセチルコリンエステラーゼのみならずブチリルコリンエステラーゼの活性を阻害し、アセチルコリンの分解を阻止することで、脳内アセチルコリンレベルを増加させることがわかっています。イクセロンパッチはこの二つの酵素を阻害することにより作用を発揮します。

 

提供 : 株式会社スズケン



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