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<スズケンDIアワー> 平成23年7月14日放送内容より スズケン

直接]a阻害経口抗凝固薬 エドキサバントシル酸塩水和物


大阪厚生年金病院 副院長
冨士 武史

icon 静脈血栓塞栓症とは

静脈血栓塞栓症のリスクの階層化

 肺血栓塞栓症は一般にはエコノミークラス症候群としても知られている、死に至る重篤な疾患です。肺血栓塞栓症の多くは下肢の深部静脈に発生した血栓が移動して生じるとされており、一連の病態ですので合わせて静脈血栓塞栓症(VTE)と呼ばれています。静脈血栓塞栓症は整形外科手術に関しても生じることがあり、日本整形外科学会静脈血栓塞栓症予防ガイドラインでは各種の整形外科手術を静脈血栓塞栓症発症のリスクで階層化しています。例えば一般的な上肢の手術は低リスク、下肢手術は中リスク、人工股関節置換術は高リスクというわけです。高リスクに分類されている中で人工股関節置換術(THA)・人工膝関節置換術(TKA)・股関節骨折手術(HFS)については多くの施設で行われる定型的な手術ですので、特にVTE予防が求められています。

ガイドラインで推奨する予防法

 このガイドラインではリスクレベルに応じてVTEの推奨予防法が提示されており、高リスクには間歇的空気圧迫法あるいは抗凝固療法が奨められています。高リスクの中でも骨盤骨切り術・下肢悪性腫瘍手術・重度外傷・骨盤骨折については、出血のリスクが大きいため抗凝固療法を行うかどうかについては議論の分かれるところと思われます。一方、THA・TKA・HFSに関してはVTE予防のために抗凝固療法が選択されることが多くなっています。抗凝固療法に用いられる抗凝固薬としては、未分画ヘパリン、ワルファリン、エノキサパリン、フォンダパリヌクスが上記のガイドラインで記載されていたのですが、このたび直接作用型のXa阻害薬であるエドキサバンが製造承認を受け、VTE予防の抗凝固薬として使用可能となりました。これらの抗凝固薬には微妙な適応の違いがありますので、整理しておきましょう。未分画ヘパリンとワルファリンはずっと以前から承認されていた薬剤であるため、すべての手術に対してVTE予防の抗凝固薬として使用可能です。しかし日本人での周術期VTE予防に対する有効性と安全性をきっちり確かめた試験はありません。エノキサパリンとエドキサバンは、THA・TKA・HFSの3つの手術に限定して使用可能です。フォンダパリヌクスはTHA・TKA・HFSに加えてVTEリスクの高い下肢手術と言う適応も併せ持っています。これらの新しい抗凝固薬は脊椎手術におけるVTE予防などの適応がないことに注意が必要です。

 

提供 : 株式会社スズケン



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