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<スズケンDIアワー> 平成23年7月14日放送内容より スズケン

直接Ⅹa阻害経口抗凝固薬 エドキサバントシル酸塩水和物


大阪厚生年金病院 副院長
冨士 武史

icon エドキサバントシル酸塩水和物の作用機序

Edoxaban

 エドキサバントシル酸塩水和物(以下エドキサバン)は、日本で初めて開発された経口の直接作用型Xa選択的阻害薬で、線形的な薬物動態を示します。経口吸収性に優れているために、経口投与時のバイオアベイラビリティは50%以上で、速やかな作用発現が得られます。経口投与での消失半減期は8~10時間です。また、エドキサバンは経口薬であることから、近年、VTE予防に主に使用されているエノキサパリン、フォンダパリヌクスという皮下注射薬と比較して、患者さんの苦痛や医療従事者の負担を軽減すると期待されます。本日は整形外科領域での試験結果をもとに、エドキサバンのVTE予防に対する有効性と安全性についてお話しさせていただきます。まず、VTE予防効果を調べる場合、死亡に至るような肺血栓塞栓症の発生頻度で見ることは症例数が何万例と必要になってくるために現実的には難しいということをご理解ください。例えば、TKAでは死亡に至るような肺血栓塞栓症の発生頻度は1%以下ですが、下肢の静脈造影検査で発見される深部静脈血栓症の発生頻度は50%程度あります。従って、各種の予防法の効果を見る場合には静脈造影などの検査で見つけた症状の無いVTEの発生頻度を加えて評価が行われています。


icon 臨床試験成績から

TKA P2b 試験: 有効性・安全性

 エドキサバンの臨床試験の最初はTKAで行われた第2相試験です。TKAは無症候性も含めたVTEの発生頻度が高く、手術侵襲も一定と考えられたからです。患者さんはプラセボ群、エドキサバン5mg群、15mg群、30mg群、60mg群の5群に分けられました。群別は完全に盲検化されており、試験終了まで患者さんがどの群に属するかは不明です。この試験が行われた時には、エノキサパリンもフォンダパリヌクスも日本での使用が認められていず、多くの施設でVTE予防に抗凝固療法は選択されていなかったのでプラセボ群が設定されました。TKA術後6~24時間で薬剤を1日1回で投与開始し、11日~14日間後に下肢の静脈造影を実施しました。静脈造影や肺血栓塞栓症を疑って行われた造影CT等の画像については、患者名や群別が判別できない状態で独立した読影委員会で読影し、VTEの発生頻度を有効性評価に用いました。安全性については大出血と臨床的に重要な出血について評価し、こちらもその発生頻度を示しました。プラセボ群のVTE発生頻度は48.3%でしたが、エドキサバン5mg群で29.5%、15mg群で26.1%、30mg群で12.5%、60mg群で9.1%とエドキサバンのすべての群でプラセボ群に比較してVTEの発生頻度が低下していました。一方、出血事象の発生頻度は、プラセボ群3.9%、エドキサバン5mg群2.9%、15mg群4.7%、30mg群3.9%、60mg群4.7%と各群間で有意差はありませんでした。THAでも同じような第2相試験を行いましたが、試験実施時期には日本でエノキサパリンやフォンダパリヌクスが使用可能となっていましたので、プラセボ群は作らずにエノキサパリンをベンチマークとして調査しました。その結果VTEの発生頻度は、エドキサバン15mg群では3.8%、30mg群では2.8%、ベンチマークのエノキサパリン群では4.1%となり、出血事象には群間で差はありませんでした。これらの結果から、エドキサバンの使用量は1日1回30mgと決定されました。

試験デザイン

 次にTKAおよびTHAでの第3相試験が実施されました。どちらも日本で既にVTE予防薬として承認され、世界中でVTE予防の基準薬と考えられているエノキサパリンが対照薬です。症例は2群に分けられ、エドキサバン群ではエドキサバン30mgを1日1回とエノキサパリンのプラセボを1日2回投与し、エノキサパリン群ではエノキサパリン20mg1日2回とエドキサバンのプラセボを1日1回投与しました。11~14日間の投与後、下肢の静脈造影を実施してVTEの発生頻度を調べました。

 

提供 : 株式会社スズケン



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