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<スズケンDIアワー> 平成23年9月1日放送内容より スズケン

第14回日本医薬品情報学会総会・学術大会


東京大学大学院薬学系研究科医薬品情報学講座教授
澤田 康文

icon 主なプログラムから

 本年会でのプログラムについて具体的にご紹介致します。

プログラム

 我々は、これまでの医薬品情報学研究の成果を、真に実践的な医薬品情報へとつなげて社会に安心・安全な医療を提供すべく、幅広い議論をしていただけるプログラムと致しました。
 ・特別講演;社会情報学者であります東京大学大学院 情報学環教授 姜尚中先生に「情報化社会で考えること – 信頼のきずなを求めて -」と題して特別講演をお願い致しました。具体的には、生命と安全という普遍的な価値とのかかわりで、わたしたちは日常世界に着床したどのような信頼の枠組みを形成していくことができるのか、そのことが情報化社会の中で問われていることを示して頂きました。このことは医療においても同様に重要なポイントであることを理解することができました。
 ・教育講演;2つテーマを企画しました。
 先ず、「医薬品審査結果報告書・申請資料概要の読み解き方」というタイトルであります。承認審査情報は、「審査報告書」「審議結果報告書」「申請資料概要」から構成されており、特に審査報告書は、医薬品評価の良い情報源であるとともに、医薬品評価を学ぶための良い教育資材ともなりうると説明されました。DI担当薬剤師には必読の資料でありますが、「ファクトデータ」はインタビューフォーム から、「審査の論点」は「審査報告書」から、という風に使い分けることも可能であります。

 次に、「医薬品・医療機器等安全性情報報告制度の活かし方」というタイトルで、本制度の成り立ちも含めた市販後安全対策について、本制度に基づき報告された医療機関報告の概要、医療機関報告が医薬品・医療機器等の安全対策にどのように活かされているか、本制度への機構(PMDA)の関わりと取り組み等について、紹介された。また、機構(PMDA)の情報提供サイトであります「医薬品医療機器情報提供ホームページ」において、医療機関の方々に利用していただきたいコンテンツや情報を掲載するとともに、特に重要な安全性の情報を提供するサービス「PMDA メディナビ」が紹介されました。
 これら二つのテーマは、医薬品情報リテラシーを研鑽するために必須の内容といえます。
 ・シンポジウム; 5つテーマを企画しました。
 シンポジウム1として:「コンコーダンスに活かす医薬品情報」と題して、1)最初に医薬品の適正使用のための医薬品情報のあり方を、海外の最近の状況も踏まえ、リスクコミュニケーションとしての観点から、2) 次いで医療の現場への後方支援としての医療情報提供の取り組み、3) および医療現場の薬剤師によるコンコーダンス向上に向けた取り組みと効果について、4) また患者・家族の立場から医療専門職とのコミュニケーションの課題について、それぞれ講演いただき、医薬品情報をコンコーダンス向上に活かすためのあり方について議論されました。
 シンポジウム2として:「IT・ユビキタス社会と医薬品情報」と題して、ユビキタスコンピューティングに代表される最先端の情報技術(IT)が、医薬の分野において、患者、医療従事者、薬局など、様々な立場の方々への支援の可能性があることが述べられました。更に、これまでも、電子お薬手帳の取組み、ユビキタス技術を活用した処方や服薬の支援、院外処方時における医薬連携や地域の薬局間の情報共有におけるIT 活用等が各地で実践されてきたほか、近年の政府の取組みで「どこでも MY 病院構想」などが展開されており、医薬分野における情報技術利用の可能性が現実のものとなっていることが紹介されました。
 シンポジウム3として:「大学における医薬品情報学教育の進化」と題して、6年制薬学教育の完成年度を迎え、大学における医薬品情報教育の現状や先駆的な取組みの事例などの紹介を踏まえて、医薬品情報教育の進むべき方向性が議論されました。
 シンポジウム4として:「抗癌剤適正使用のための手作り薬薬連携」と題して、具体的に薬薬連携が成功した一つ目のエリアとしては、お薬手帳を利用して、レジメン情報等を共有している横浜市立大学附属市民総合医療センター地域が紹介されました。2つ目のエリアとしては、関西電力病院地域であり、地域薬局からの疑義照会に応じて FAXで投与計画情報などの提供を行っている例が紹介されました。これら2つの連携事例は、外来化学療法の現場で課題となっている「抗癌剤の用法・用量、休薬期間、併用禁忌のチェック、制吐剤の使用における服薬支援、さらに薬局からの情報フィードバック」という課題について、解決の糸口となるに足る大きな示唆を与えてくれるものと確信しています。本シンポジウムでは、各エリアの薬薬連携の構築前後の状況、運用状況、プレアボイド事例、今後の課題と将来への展望などについて議論されました。
 シンポジウム5として:「いよいよ始まる医薬品情報専門薬剤師制度」と題して、先ず日本医薬品情報学会では、医薬品の有効性と安全性を高める適正使用情報に専門性を有し、その創出・調査・評価・提供・安全対策・教育を実践できる薬剤師を育成し認定する専門薬剤師制度を創設し本年第1回の認定を行ったことが紹介されました。更に、医療の品質保証と医薬品適正使用に先進的な取り組みが行われている英国における医薬品情報基盤と専門薬剤師の活躍が紹介され、PMDA が進める医薬品適正使用情報の構築・発信の現状と事業展開を解説いただくと共に医薬品情報専門薬剤師への期待を述べて頂き、また、医療現場に勤務する医薬品情報専門薬剤師が、今どの様に適正使用情報の活用や安全対策に取り組んでいるのか「出来ていること」と「取り組んでいること」を紹介して頂き、更に、薬学教育の立場から、医薬品情報専門薬剤師が育て担う情報教育・情報研究について紹介されました。本シンポジウムを通じて、動き始めた医薬品情報専門薬剤師が、適正使用の推進と薬物療法の質の向上に、どの様に貢献していくのか議論が展開されました。

 

提供 : 株式会社スズケン



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