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<スズケンDIアワー> 平成23年9月22日放送内容より スズケン

DPP-4阻害糖尿病治療薬 リナグリプチン


順天堂大学大学院代謝内分泌内科学教授
綿田 裕孝

icon 糖尿病治療と血糖降下薬

 2型糖尿病は、血糖値を下げるホルモン、インスリンの作用の低下により、体内に取り入れられた栄養素がうまく利用されずに、血液中のブトウ糖が多くなっている状態です。
 病気の本態は、膵臓からのインスリンの分泌不足と、インスリンが分泌されていても、その効果が低下しているインスリン抵抗性であり、ほとんどの症例で、両者が相まって存在していることが知られています。
 厚生労働省による2007年の国民健康・栄養調査によると、現在わが国には、糖尿病と強く疑われる人が890万人おり、糖尿病の可能性を否定できない人1320万人を含めると、2000万人以上の患者さんがいると考えられ、今後も増加することが予想されます。
 糖尿病にかかり、慢性的な高血糖の状態が続くと、血管障害を代表とする様々な合併症が引き起こされることが知られています。
 従って、糖尿病治療の目標は、血糖、体重、血圧、脂質の状態を良好にコントロールすることで、これらの合併症の発症や進行を抑え、糖尿病患者さんが、健康な人と変わらない日常生活の質を維持し、健康な人と変わらない寿命を確保できるようにすることです。そのために、まず重要視すべきことは、食事療法と運動療法です。

糖尿病の病因と血糖降下薬

 しかし、食事療法、運動療法を2,3カ月続けても、なお目標の血糖コントロールを達成できない場合には、薬物療法を行います。
 経口血糖降下薬による2型糖尿病の薬物治療では、患者さんの病態に応じて、経口血糖降下薬を選択し、最初は1種類の薬剤から投与を開始し、経過を観察します。
 従来から、インスリン抵抗性を改善するタイプの薬剤としては、ビグアナイド薬やチアゾリジン薬、インスリンの分泌を促進するタイプの薬剤としては、SU薬や速効型インスリン分泌促進薬、食後高血糖を改善するタイプの薬剤としてはα-グルコシダーゼ阻害薬が使われてきました。


icon DPP-4阻害薬の登場

 最近、インスリン分泌を促進するタイプの薬剤として、新たにDPP-4阻害薬が日本でも認可され、既に多くの日本人2型糖尿病患者さんに使用されています。

DPP−4阻害薬の薬理学的特徴

 このDPP-4阻害薬の作用機序を簡単にご紹介します。
 小腸粘膜に局在する細胞から栄養素の刺激によって分泌され、膵β細胞からのインスリン分泌を促進するインクレチンというホルモンには、GLP-1とGIPがあります。 インクレチンは分泌後、DPP-4という酵素によって速やかに不活化されます。
 GLP-1は、血糖依存的にインスリン分泌を促進し、膵α細胞からのグルカゴン分泌を抑制することによって血糖低下作用を発揮します。
 DPP-4阻害薬は、DPP-4を選択的に阻害することにより活性型GLP-1濃度を高めます。
 また、血糖降下作用はブドウ糖濃度依存性なので、単独投与では低血糖の可能性が少なく、血糖コントロール改善に際して体重が増加しにくいこともこの薬剤の特徴です。
 今回承認された新しいDPP-4阻害薬リナグリプチン(商品名:トラゼンタ® 錠)は、既に米国で本年5月に承認され、6月に発売されています。 日本においては、本年7月1日に製造承認されました。

 

提供 : 株式会社スズケン



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