→ 番組表はこちら
→ストリーミング版はこちら
<スズケンDIアワー> 平成23年9月22日放送内容より スズケン

DPP-4阻害糖尿病治療薬 リナグリプチン


順天堂大学大学院代謝内分泌内科学教授
綿田 裕孝

icon 2型糖尿病に伴う腎機能低下リスク

 ここで、2型糖尿病に伴う腎機能低下という問題について少し解説したいと思います。
 様々な研究から、2型糖尿病患者さんの少なくとも約7割は、腎機能低下のリスクが高い患者さんであると言われています。
 代表的な2型糖尿病患者さんの腎機能低下のリスク要因として、高血圧症の合併や血糖コントロールの不良、微量アルブミン尿などが挙げられます。 これらの要因のある2型糖尿病患者は、そうでない患者に比べ、より腎機能が低下するリスクが高いと言えます。
 腎機能が低下している2型糖尿病患者さんでは、糖尿病治療薬による治療の際に、低血糖が発生する頻度が高いことが知られております。

リナグリプチンの吸収・代謝・排泄まとめ

 新しいDPP-4阻害薬リナグリプチンの大きな特徴は、初めての胆汁排泄型であることです。
 経口投与されたリナグリプチンは、ほとんどが肝臓で代謝を受けずに胆汁を介して未変化体で糞便中に排泄されます。 腎臓を介した尿中排泄は約5%です。
 腎排泄型の薬剤では、患者さんの腎機能が低下すると、薬物血中濃度が上昇してしまうため、経口糖尿病薬の種類によっては、投与禁忌や慎重投与になっていたり、用量を調節して投与したりしなければなりませんでした。 すなわち、リナグリプチンは、患者さんの腎機能の程度による薬物血中濃度への影響を受けませんので、腎機能の程度に関わらず、用量を調節する必要がありません。
 腎機能の程度別にリナグリプチン投与後の血中曝露をみたところ、軽度、中等度、重度および末期腎障害患者さんにリナグリプチン5mgを経口投与しても、AUCは用量調節が必要とされる2倍を超えることはありませんでした。また、肝機能の重症度別に、同じくリナグリプチン5mg経口投与した後の血中曝露を比較したデータにおいて、肝機能の程度の異なる患者のAUCは、健康被験者に対し、単回投与及び反復投与ともに0.8-1.0倍でした。
 従いまして、リナグリプチンは患者さんの腎機能だけでなく、肝機能の程度においても投与後の薬物血中濃度に与える影響はありません。
 以上より、リナグリプチンは患者の腎機能および肝機能の程度に関わらず用量調節が不要であるという特徴を有しています。 シンプルな1用量で1日1回投与という点では、初めて薬物治療を開始する患者にとっても服用しやすい薬剤であると考えられます。
 トラゼンタ®錠の適応症は2型糖尿病です。 ただし、食事療法・運動療法のみで十分な効果が得られない場合に限る、となっています。 用法・用量として、通常、成人にはリナグリプチンとして5mgを1日1回経口投与します。

 DPP-4阻害薬は、既にわが国でも多くの糖尿病患者さんに使われています。 一般的に比較的安全性と忍容性が高い薬剤と評価されている一方で、患者さんの腎機能の程度に応じた用量調節などが適切に行われていないケースもあると聞いています。 従来のDPP-4阻害薬と全く異なる胆汁排泄型という特徴を有している新しいDPP-4阻害薬の登場は、先生方の治療に新たな選択肢を加えるものであり、糖尿病患者さんの治療への福音になるのではないかと期待しています。

 

提供 : 株式会社スズケン



前項へ 1 2 3