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<スズケンDIアワー> 平成23年9月29日放送内容より スズケン

25周年を迎えた日本中毒情報センター


日本中毒情報センター理事長
吉岡 敏治

icon その他の活動について

 その他に主なものとしては、2000年からの「化学兵器に関するデータベースの作成と危機管理マニュアルの策定」があります。これは、九州・沖縄サミットに際して化学テロ対策のための基本的なデータベースを整備し、現場対応から治療までの総合的な危機管理マニュアルを策定したものです。また、2000年からは毒劇物テロ対策研修を、これに代わって2006年からはNBCテロ対策研修を、厚生労働省から毎年委託されており、化学テロや集団化学災害の発生時においても一定の役割を担うようになりました。 このような経緯から、当財団は公的組織ではありませんが、内閣官房の策定した「NBCテロ対処現地関係機関」にも組み込まれております。最近では洞爺湖サミットやAPEC首脳会議開催に際して、各国首脳へのNBC対応を委託されました。
 2002年からの「家庭用品における製品表示と理解度との関連、及び誤使用・被害事故との関連の検証に関する研究」では、実態調査に基づき、企業への事故状況報告システム、ラベルの表示内容を提案したデータベースを構築し、ラベル作成のガイドラインを策定しました。これらは企業賛助会員に事故情報をフィードバックするサービスの開始につながりました。2006年からの「家庭用化学製品のリスク管理におけるヒトデータの利用に関する研究」では、中毒事故の発生件数と発生要因を解析して、中毒事故予防のための市民向けパンフレット、動画資料を作成しました。動画資料は、ホームページで紹介しておりますので、是非ご覧ください。さらに、血中濃度の分析値を含む症例データを収集して、家庭用品に起因する中毒事故について受診の必要性を判断するトリアージアルゴリズムを作成し、血中濃度を用いた予後推定を行いました。
 現在では急性中毒事故の発生時の情報提供にとどまらず、医薬品の副作用等の緊急の安全性情報について、製薬会社と委受託契約を結んで、夜間及び休日に契約企業に代わって情報提供を実施しております。当センターには20億円を超える基本財産がありますが、近年の低金利から、金利による運営資金がほとんど得られず、財政はたいへん逼迫しております。この医薬品の安全性情報の提供は逼迫する運営資金を企業から得るための方策ですが、本来の情報提供の意味合いもあると思っています。

icon 今後の課題

 以上ご紹介しましたように中毒情報センターの業務は、質・量ともに増加してきましたが、今後も課題が山積しております。医療従事者への情報提供を充実させるための課題としては、情報提供に資する症例データベースの再構築、インターネットを介した情報提供システムへの移行、中毒症例の登録システムの構築と症例収集等があげられます。特に後者は欧米の先進国ようにNational Date Collecting Systemとして国主導の事業として位置づけられなければなりません。
 一方、当財団の財政は先述のように、設立以来逼迫し続けており、赤字基調から未だ脱却できておりません。この番組をお聞きの個人、或いは団体の皆様に、ご寄附、或いは賛助会への入会を頂ければ誠に幸甚に存じます。
 最後に、日本中毒情報センターが25年にわたって業務を継続し、成長してこれたのは、多くの方々の熱意と好意によるところがたいへん大きいと思っております。人の好意を感じる事と、仕事への誇りが今日の中毒情報センターのエネルギーであります。ここに心から深謝申し上げます。

 

提供 : 株式会社スズケン



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