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<スズケンDIアワー> 平成23年10月27日放送内容より スズケン

TNF阻害関節リウマチ治療薬 ゴリムマブ(遺伝子組換え)


慶應義塾大学リウマチ内科講師
亀田 秀人

icon 治療到達目標の設定

 関節リウマチの診療においては、近年、病態の分子生物学的理解、臨床評価法の確立に伴って、新薬の開発ラッシュの状況にあります。治療が飛躍的に進歩すると、今度は病気の捉え方、診断、そして治療の目標まで次々と見直されています。2010年には関節リウマチを「持続性またはびらん性の関節炎であるリスクが高い」と考えられる関節炎であり、直ちにメトトレキサートを中心とした治療を開始すべき疾患である、と認識することでグローバルな合意が得られ、それに基づいた新しい分類基準が23年ぶりに発表されました。これによれば、関節の腫れがどこかにあり、他の関節炎疾患が除外されたならば、関節炎の広がり、リウマトイド因子や抗シトルリン化蛋白ペプチド抗体の力価、関節炎の持続期間、そして炎症反応でスコアをつけて、10点満点で6点以上であれば関節リウマチと分類できます。

icon 関節リウマチの診断

 関節リウマチと診断したら、治療の到達目標を決定する必要があります。合併症のない早期の患者さんであれば、治療目標は寛解です。寛解とは、長い目で見ても関節破壊の進行や、それに伴う関節機能障害の進行がほとんど生じないと予測される状態のことです。言い換えれば、関節リウマチという病気自体のリスクがほとんど消失した状態です。しかし、合併症のために十分な治療が困難であったり、すでに関節破壊による機能障害が後遺症として残ったりしている患者さんでは、病気の勢いが低い、低疾患活動性であれば許容され、これが現実的な着地点とならざるをえないかもしれません。従って、ある程度の幅の中で患者さん個々の状況にあわせて、話し合いの中でゴールを設定し、お互いにその到達目標を共有して、そこに向かって歩みを進めていくことになります。 そして、診断から到達目標に向かうプロセスについても、目標達成型のTreat to Targetという考え方が提唱されました。これは高血圧や糖尿病などの慢性疾患に共通する考え方で、明確な数値目標を掲げて、制限時間内にそこに到達するように努める、というものです。実際に、限られた医療資源と時間の中で、効率よく成果をあげることは、関節リウマチの治療においても不可欠です。特に予後不良因子を強く有する、関節破壊が急速に進行するタイプの患者さんでは、時間的余裕がなく、半年以内に寛解に到達することが要求されます。従って、こうした患者さんにおいては、3ヶ月毎に治療を見直しても、治療の失敗は1度までとなりますから、有効性が高い薬剤を早期から投入することが必要です。このように患者さん毎に異なる、全てのニーズに応えるためには、まだまだ新薬開発の余地が大いにあります。

 

提供 : 株式会社スズケン



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