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<スズケンDIアワー> 平成23年11月3日放送内容より スズケン

経口弱毒生ヒトロタウイルスワクチン


新潟大学病院小児科特任助教
大石 智洋

icon 接種の留意点

 最後に今後の展望について述べますが、その前に、このワクチンは実際にどのように接種されるかについてお話します。

接種スケジュール

 このワクチンは経口ワクチンで、生後6週以降生後24週までの間に、4週の間隔をあけて2回経口接種します。今までのワクチンと比べ、生後6週以降という、生後早い時期に接種可能であることが特徴です。そして、生後24週までという、早い時期に終了しなければならないことも特徴です。したがって、まず今後の展望としては、いかに、より早い時期に接種を開始し、早い時期に接種を終了できるかが大きな課題となります。当然、この時期にロタウイルスワクチンだけ接種できるのであればなんら問題はないのですが、現在数多くのワクチンが日本で導入されていますので、効率よく接種を行うことが重要となります。まず、いかに早い時期に接種を開始するかという点に着目すると、生後早い段階でいかに経口弱毒生ヒトロタウイルスワクチンの存在を知ってもらうかということにあると思われます。
 生後6週までの赤ちゃんは、それまで小児科を受診する機会がないケースが多いと思われます。したがって、小児科のみならず、産科のスタッフや、産後に関わる保健師や助産師の方々に経口弱毒生ヒトロタウイルスワクチンを知ってもらい、その有用性について広く親御さんに伝えてもらうことが大切であると考えます。 そして、いかに早く接種を終了するかという点については、同時接種がポイントになると思われます。今年の3月に一時、接種中止となった小児肺炎球菌ワクチンおよびヒブワクチンを含め、現在はほぼ全てのワクチンにおいて、同時接種における安全性は問題なしとされています。
 しかしながら、一時期同時接種が問題となったワクチンの添付文書に「同時接種する場合は、それぞれ単独接種することができる旨の説明を行うこと。特に、被接種者が重篤な基礎疾患に罹患している場合は、単独接種も考慮しつつ、被接種者の状態を確認して慎重に接種すること」との文言があるためか、同時接種に消極的な先生方が以前よりも多い傾向にあると思われます。同時接種が勧奨されない状況下では、予防接種のスケジュールが遅れてしまう子どもが多くなり、本来ワクチンによって守ることができた疾患に対し、守ることができなかった子どもが多く認められる事態となってしまいます。
 この問題は、経口弱毒生ヒトロタウイルスワクチンに限った事ではありませんが、これには、日本全体で、このような新たなワクチンが出た際にもきちんと副反応がどの程度おこっているのかをモニターするシステムを整備し、安全性について確かなデータを元に議論できる状況を作っていくことが重要であると考えます。


 以上、経口弱毒生ヒトロタウイルスワクチンについて、多くの子どもが罹患するロタウイルスによる胃腸炎を高率に防ぐことができ、有用であることを述べました。 経口弱毒生ヒトロタウイルスワクチン発売後、最初は任意接種、すなわち費用は接種者の負担になるかと思われますが、世界約30カ国では既にワクチン費用を国が負担することとなっており、費用対効果にも優れているワクチンであることからも、是非日本においても近い将来、経口弱毒生ヒトロタウイルスワクチンが公費負担になってもらいたいと切望します。
 最後になりますが、このお話しによって、先生方の経口弱毒生ヒトロタウイルスワクチンに対する興味が少しでも深まったのであれば幸いです。

 

提供 : 株式会社スズケン



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