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<スズケンDIアワー> 平成23年11月17日放送内容より スズケン

新薬の薬価算定根拠(36)


日本大学薬学部薬事管理学 教授
白神 誠

icon リパクレオンカプセル及び顆粒

 有効成分は、パンクレリパーゼで、アボット・ジャパンの開発です。パンクレリパーゼは、膵消化酵素作用を有し、「膵外分泌機能不全における膵消化酵素の補充」を効能・効果とします。類似の薬理作用を持つパンクレアチンとは酵素力価が明らかに異なり、効能・効果も異なるなど、総合的に類似の効能・効果等を持つ類似薬はないと判断され、薬価算定は、原価計算方式で行われました。既存薬は力価が低く、大量投与でも十分な効果が得られていなかったところ、本剤は、力価を高めるとともに、マイクロスフィア化し腸への移行を高める製剤工夫を行うことで十分な効果を示すとともに、患者の利便性の向上や負担の軽減が期待できますが、既存薬を高力価としたものであることから、開発リスク、革新性という観点からは限定的な評価とされ、営業利益率は平均的な営業利益率に10%プラスした21.1%とされました。


icon リクシアナ錠

 有効成分は、エドキサバントシル酸塩水和物で、第一三共の開発です。エドキサバントシル酸塩水和物は、血液凝固阻止作用を有し、「股関節全置換術、膝関節全置換術、股関節骨折手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制」を効能・効果とします。薬価算定は、効能効果、薬理作用などが類似するエノキサパリンナトリウムの製剤であるサノフィ・アベンティスのクレキサン皮下注を比較対照薬に類似薬効比較方式Tで行われました。現在広く臨床で使用されているXa阻害剤が全て注射薬であるのに対し、本剤は、経口投与可能な薬剤として開発されたものであり、投与に伴う煩雑さ、患者への侵襲性等を減じるものであることから有用性加算Uが適用されました。ただし、下肢整形外科手術患者に対する抗凝固療法は、本剤又は既存薬のいずれを用いた場合であっても、手術後の限られた期間に入院下で実施されるものであり、本剤によって外来治療が可能になることはないなど、大きなQOLの改善は認められないことから加算率は5%と限定的な評価とされました。


icon グルベス配合錠

 有効成分は、ミチグリニドカルシウム水和物とボグリボースの配合剤で、キッセイ薬品の開発です。グルベス配合錠は、短時間速効型の膵β細胞刺激によるインスリン分泌促進作用及びα-グルコシダーゼ阻害作用を有し、「ミチグリニドカルシウム水和物及びボグリボースの併用による治療が適切と判断される2型糖尿病」を効能・効果とします。薬価算定は、内用配合剤の特例により、「自社品であるグルファスト錠の薬価」の0.8倍に「他社の後発医薬品の最低薬価」すなわちニプロファーマのボグリボース錠「NP」の薬価を加えることにより行われました。


icon ポプスカイン注

 有効成分は、レボブピバカイン塩酸塩で丸石製薬の開発です。レボブピバカイン塩酸塩は、痛覚神経遮断作用を有し、「伝達麻酔」を効能・効果とします。本剤には伝達麻酔・術後疼痛に用いられる濃度が異なる同一成分の既収載品があることから、薬価算定は、規格間調整により行われました。


icon ミルセラ注シリンジ

 有効成分は、遺伝子組換えのエポエチン ベータ ペゴルで、中外製薬の開発です。エポエチン ベータ ペゴルは、赤血球増加作用を有し、「腎性貧血」を効能・効果とします。補正加算のいずれの要件にも該当せず、効能・効果、薬理作用等が類似する注射薬が既に3つ以上あることから、類似薬効比較方式Uで算定が行われました。薬価の算定は、過去6年間に収載された類似薬のうち最も薬価の低かった、遺伝子組換えのダルベポエチン アルファの製剤である協和発酵キリンのネスプ注射液の薬価に合わせることとされました。

 

提供 : 株式会社スズケン



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