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<スズケンDIアワー> 平成23年12月1日放送内容より スズケン

日本薬剤疫学会第17回学術総会「薬剤疫学と医療データベース」


国際医療福祉大学薬学部教授
池田 俊也

icon 大会の概略について

プログラム

 基調講演では、東京大学大学院の永井良三先生にご登壇いただき、先生の長年のご経験を踏まえた臨床データベースの必要性と課題について、示唆に富むお話しを頂戴しました。
 データベース利用に関するシンポジウムでは、厚生労働省保険局総務課ならびに独立行政法人医薬品医療機器総合機構からもシンポジストを招きました。厚生労働省では、医療費適正化計画の作成・実施及び評価に資するため、厚生労働省が行う調査及び分析等に用いるためのレセプトならびに特定健診データのデータベースを構築しています。我が国における医療機関受診のデータが全国規模で蓄積されており、薬剤疫学を含むさまざまな研究領域で有用なデータベースであることから、研究者による二次利用が期待されていました。今年度より試行的に研究利用が認められることとなったことから、今後は、薬剤疫学研究にも広く活用されることが期待されています。 また、独立行政法人医薬品医療機器総合機構は、今年度より「医療情報データベース基盤整備事業」を開始しており、その拠点となる10の協力医療機関が選定され、処方情報や検査データ等を含む診療情報の収集を行う予定としており、今後の研究成果が期待されています。

プログラム

 妊婦が服用することにより胎児に障害をもたらす可能性のある、催奇形性のある薬剤におけるリスク管理に関するシンポジウムも企画されました。サリドマイドによる薬害問題から50年が経過しました。サリドマイドは長らく販売中止となっていましたが、炎症性疾患やがんの治療における有効性が認められたことから日本でも2008年に多発性骨髄腫の治療薬として再認可されました。しかし、新たな被害が生じないように十分な注意を払って使用することが必要といえます。今回はサリドマイドおよびレナリドミドという薬剤における我が国のリスク管理システムの現状と課題について討論が行われました。日本骨髄腫患者の会の上甲様にもディスカッションにご参加頂き、患者の立場からの貴重なご意見を頂戴することができました。

 また、医療費の高騰への対応は重要な政策課題の一つと認識されており、医療費や薬剤費の適正化の観点から、薬物療法の費用対効果の評価が注目されています。そこで本学術総会では、国際医薬経済・アウトカム研究学会日本部会との共同企画として、「新薬の市販後調査と経済評価」に関するセッションを企画しました。
 薬物療法の費用対効果を検討するためには、市販前の治験データだけでは不十分です。その理由として、治験では有効性安全性等の臨床データについても短期間のデータしか得ることはできず、また、コストに関するデータは通常収集されません。また、限定された患者さんへの使用となっており、それらの患者さんで得られたデータが、市販後に広く使用される際の患者さんの状況を的確に反映したものになっている保証はありません。したがって、薬物療法の費用対効果を評価するためには、市販後に蓄積される診療データや費用データを用いて、診療実態を反映した費用対効果を算出することが求められます。市販後に実施される臨床研究の結果や医療データベースを用いて薬物療法の費用対効果に関する評価を行うことにより、その研究成果を診療ガイドラインの策定や診療現場での臨床判断に用いることが今後大いに期待されるところです。
 そのほか、30題の一般演題では、リスク評価、リスク管理、リスクコミュニケーション、薬剤の使用実態、薬剤経済など、薬剤疫学に関連するさまざまな研究成果が発表されました。

 

提供 : 株式会社スズケン



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