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<スズケンDIアワー> 平成23年12月8日放送内容より スズケン

C型慢性肝炎治療薬 テラプレビル


虎の門病院分院 分院長
熊田 博光

icon C型慢性肝炎の治療変遷

 このたび、C型慢性肝炎に対する新たな治療薬が使用可能となりました。従来、C型慢性肝炎は、放置しておくと肝硬変、肝がんに移行し、国民病とも言われています。

C型慢性肝炎の治療変遷

 C型慢性肝炎に対する治療としては、1992年にインターフェロンの6カ月投与が承認になりました。これにより、日本のC型肝炎患者の約30%が治癒することとなりました。
 しかし、その後、日本で最も多いC型肝炎のタイプである1b型でしかもウイルス量が多いタイプは、このインターフェロンによる半年の治療では約10%しか治らないことも明らかとなりました。
 2004年に、ペグインターフェロンとリバビリンの併用療法が可能となり難治例の1b型高ウイルス症例患者の約50%が治癒することとなりました。しかし、残りの50%は、残念ながらペグインターフェロンとリバビリンの併用療法では治癒しません。
 この難治例において、さらに治療効果を上げるため、2011年にプロテアーゼ阻害剤が新たに使用可能となり、治療効果が向上しました。この薬剤は、C型肝炎ウイルス遺伝子に存在する約3300のアミノ酸のうち、高反応部分のNS3からNS4の領域のプロテアーゼを阻害することによりC型肝炎の増殖を止め、その結果、最終的にC型肝炎ウイルスを死滅させるものです。

icon プロテアーゼ阻害薬の登場

 しかし、このプロテアーゼ阻害剤テラプレビルのみで治癒することはなく、従来からのペグインターフェロンとリバビリン+プロテアーゼ阻害剤テラプレビルの併用療法において、多くの人が治癒することが明らかとなりました。

プロテアーゼ阻害薬の登場

 従来の最も世界で良い、あるいは我が国で良いとされているペグインターフェロンとリバビリンの併用療法48週間の治療では、約50%の人が治癒しますが、50%の人は治癒いたしません。同じ1b高ウイルス量の症例に同じ薬を使用しても、なぜ治る人と治らない人がいるのかが、学問的に研究されました。その結果、2009年の秋になり、人間の遺伝子であるIL28Bと言われる場所の遺伝子に、このペグインターフェロンとリバビリン併用療法で治りやすい遺伝子と治りにくい遺伝子があることが発見されました。
 人間には風邪を引きやすい人、引きにくい人、あるいは背が高い人、背が低い人、やせている人、太っている人など様々ですが、これはすべて人間の30億の遺伝子の中のどこかが違うから起こることであります。今回のIL28Bの遺伝子がリバビリン併用療法で治りやすい遺伝子であるTTを持つ人と、治りにくい遺伝子であるTG or GGを持つ人では、治療効果が全く違うことが明らかとなりました。
 さらに、同じC型肝炎のウイルスでも、ウイルスのタイプにより遺伝子の核の部分の70番目の遺伝子が野生株であるワイルドと変異株であるミュータントに分かれ、この人間の遺伝子とウイルスの遺伝子を組み合わせて治療効果を見ると、人間の遺伝子が治りやすくウイルスの遺伝子も治りやすい場合は66.4%が、一方、人間の遺伝子が治りにくくウイルスの遺伝子も治りにくい場合は12.5%と治療効果が悪いことも明らかになりました。

 

提供 : 株式会社スズケン



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