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<スズケンDIアワー> 平成24年1月12日放送内容より スズケン

MRSA感染治療用リポペプチド系抗菌薬 ダプトマイシン


兵庫医科大学乳腺・内分泌外科教授
三好 康雄

 乳がんは女性に発生する癌のなかで最も多く、日本人女性の16人に1人は、乳がんになると考えられています。生活様式の欧米化に伴い、今後さらに乳がんは増加するものと予想されます。

icon 乳がんの治療

乳がんの分類

 乳がんはERといわれるエストロゲン受容体が発現しているかどうか、また、HER2蛋白が発現しているかどうかによって、癌の性質が異なり、また治療法も違ってきます。ERとHER2の発現の有無によって、乳がんは4つに分類されます。
 このうち、エストロゲン受容体陽性の乳がんは、全体の約7割を占め、女性ホルモンであるエストロゲンの作用で増殖します。従って、エストロゲンの作用を止めることで、がんを治療することが可能です。これを内分泌療法、あるいはホルモン療法と呼んでいます。乳がんの場合のホルモン療法というのは、女性ホルモンを補うのではなく、その働きを止めるのが目的です。
 ホルモン療法は、抗がん剤のように髪の毛が抜けたり、体の免疫力が低下する、といった副作用は少なく、飲み薬、あるいは1か月か、3か月に1回の注射で行います。従って、比較的患者さんの負担が少なく、普段どおりの生活が可能です。エストロゲン受容体が陽性の乳がんは、多くの場合、抗がん剤は効きにくく、一方、ホルモン療法が比較的よく効きます。そして、いったんホルモン剤が効くと、1年以上の効果が期待され、効かなくなっても、また別のホルモン剤が効く場合が多くみられます。このように、ホルモン療法はエストロゲン受容体陽性の乳がんに対する、とても重要な治療法となっています。ホルモン療法は手術後に、再発を予防するために行う場合と、再発した乳がんに対して治療を行う、両方の場合があります。
 このたび再発後に用いられる新しいホルモン剤である、フルベストラント(商品名:フェソロデックス)が発売されました。本日はこのお薬についてお話しさせていただきます。

icon ホルモン剤の作用機序

乳がんのホルモン療法

 ホルモン剤は作用の違いから、2つに分かれます。一つは、エストロゲンを減少させるお薬です。エストロゲンは、がんにとって燃料のような役割を果たしますから、燃料となるエストロゲンがないとがんは増殖しなくなります。このような作用を有するお薬として、閉経前の女性にはLH-RHアゴニストが、また閉経後の女性にはアロマターゼ阻害薬が用いられます。
 もう1つのお薬が、タモキシフェンと呼ばれる、エストロゲンの受容体に作用して、エストロゲンが結合できないようにするお薬です。受容体は自動車に例えると、エンジンの役割を果たします。エンジンに燃料であるエストロゲンがあるとちゃんと働きますが、水をいれてもエンジンは動きません。タモキシフェンは水に相当し、エンジンである受容体が働かないようにする作用を持っています。

 

提供 : 株式会社スズケン



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