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<スズケンDIアワー> 平成24年1月19日放送内容より スズケン

骨粗鬆症治療用ヒト副甲状腺ホルモン製剤 テリパラチド酢酸塩


産業医科大学整形外科教授
中村 利孝

icon 骨折危険率の改善

 既存の椎体骨折数との関連で見ますと、2個以上の椎体骨折を有する例で70%、3個以上の方でも69%の危険率低下が見られています。また、テリボンは、変形度がグレード3で椎体の高さが40%以上低下している高度に変形した椎体骨折例でも、70%の骨折危険率低下を示しました。さらに、骨密度で見ますとベースラインの腰椎骨密度のYAM値が60%未満と60%以上の方では椎体骨折の危険率は、それぞれ86%、60%の低下でした。これらの事実は、テリパラチド56.5μg週1回注射製剤の椎体骨折防止効果は既存の椎体骨折の数、変形の程度、骨密度の値に関わらず発揮されることを示しています。非椎体骨折については、今回の試験は対象例数が十分でなく、非椎体骨折の抑制効果の有無を検討するパワーがありません。発生率で見ますと、すべての非椎体骨折発生率はテリボン群4.5%、プラセボ群5.2%で、その差は有意でありませんでした。また、大腿骨頚部、上腕骨、前腕骨、肋骨、脛骨、恥骨など6か所の骨折発生率は、プラセボ3.8%に対してテリボンで2.4%でした。その内容は、大腿骨頚部骨折はプラセボ群で4例、テリボン群で2例など、全体的にはテリボン群で少ない傾向でしたが、統計的に有意な差ではありませんでした。
 有害事象につきましては、全ての有害事象、重篤な有害事象、死亡などの発生率にはテリボンとプラセボで差はありませんでした。ただ、頭痛、悪心、腹部不快感などの発現がプラセボに比べてテリボン群で有意に高く、有害事象のために治療を中断された方が約18%に認められました。これらの有害事象は、一過性のもので、テリパラチド注射で従来から認められてきた急性反応と考えられました。

icon 週1回注射製剤の特徴と今後

 まとめますと、65歳以上の既存椎体骨折を有する男女の骨粗鬆症例において、テリパラド56.5μg週1回注射製剤は強力な骨折防止効果を発揮し、その効果は、年齢、ベースラインの骨密度、椎体骨折の数や変形の程度、また、前治療薬の有無に関わらず一貫性があります。使用期間は1年半に制限されていますが、その間に、腰椎の骨密度は7-8%の増加が期待できます。骨代謝に及ぼす効果は、初期には骨形成の亢進、その後は骨吸収の抑制効果が発揮されるようです。骨代謝におよぼす効果は、同じテリパラチドでも毎日20μg注射とは異なっています。この点、同じ薬物でも骨に及ぼす効果が用法、用量により異なることを示す良い例であるとも言えます。
 テリパラチドは骨粗鬆症で骨折リスクが極めて高い例において、強力な骨折防止効果を発揮しますが、骨粗鬆症治療薬としての位置づけは、いわゆる第二次選択薬です。骨粗鬆症では、まず、標準的治療薬であるビスフォスフォネートで治療し、骨折を生じた例や、骨密度増加効果が十分でない例が、良い適応となります。未治療例でも、高齢で、変形度の強い椎体骨折や大腿骨頚部骨折を生じた例、著しく骨密度が低い例では使用を考慮するのもよいでしょう。使用期間が決められており、終了後は、再びビスフォスフォネートなどの骨吸収抑制剤の継続が必要です。この点は、テリパラチド56.5μg週1回注射でも毎日20μ注射でも同じです。テリパラチド56.5μg週1回注射製剤が我が国の骨粗鬆症診療の中で、実際にどのように役立つかは、今後の日常診療での使用経験の積み重ねにより明らかになって行くものと思われます。

 

提供 : 株式会社スズケン



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