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<スズケンDIアワー> 平成24年1月26日放送内容より スズケン

DI実例集(173)PK-PD理論に基づいた抗菌薬適正使用


鹿児島大学病院薬剤部医薬品情報主任
松元 一明

icon 抗菌薬の作用様式による分類

 それでは各種抗菌薬がどのPK-PDパラメータに分類されるか紹介いたします。

抗菌薬の作用様式による分類とPK-PD indexとの関係

 濃度依存型のCmax/MICに分類される抗菌薬として、ニューキノロン系、アミノグリコシド系、ケトライド系、環状リポペプチド系抗菌薬があり、抗真菌薬として、ポリエン系、キャンディン系があります。これらは1日1回投与が推奨されます。一方、時間依存型のTime above MICに分類される抗菌薬として、βラクタム系のペニシリン系、セフェム系、カルバペネム系、そして、アズトレオナム系、クリンダマイシン、エリスロマイシンがあり、抗真菌薬としてフルシトシンがあります。これらは1日3、4回投与、つまり、分割投与が推奨されます。また、AUC/MICに従う抗菌薬として、テトラサイクリン系、グリコペプチド系、キヌプリスチン・ダルボプリスチン、アジスロマイシン、リネゾリドがあり、抗真菌薬としてアゾール系があります。これらは体内に多く投与でき、副作用が回避できれば、どのような投与方法でも良いと考えます。分類上、重要なことは濃度依存的および時間依存的に効果を示す抗菌薬を知っておくことです。次に、日本におけるカルバペネム系抗菌薬の投与回数についての臨床報告をご紹介いたします。まず、カルバペネム系抗菌薬は1日投与量が同量でも、投与回数を1日2回から3回に増やすことで、治療効果が向上した報告。カルバペネム系抗菌薬の平均1日投与回数が増加することによって、効果が増し、その平均投与日数が短縮した報告。また、メロペネムの1日あたりの投与回数を増やすことにより、緑膿菌に対する感受性率が上昇し、PK-PD理論に従って投与することで、耐性菌の発現を抑制できるかもしれないといった報告。さらに、ビアペネム1日1200mg投与の4分割投与、つまり、1回300mgの1日4回投与は、2分割投与、1回600mgの1日2回投与に比べて、原因菌の消失率および耐性菌の出現率において有用で、より高い臨床効果が得られたという報告などがあります。このようにPK-PD理論に基づいたカルバペネム系抗菌薬の分割投与について、十分なエビデンスが構築されております。そこで、鹿児島大学医学部・歯学部附属病院では、カルバペネム系抗菌薬の投与回数について、各診療科、病棟宛に、次のような文書を作成し、配付しております。

カルバペネム系抗菌薬の投与回数について

 カルバペネム系抗菌薬は広い抗菌スペクトルと強力な抗菌作用により、重症感染症の治療に有効な抗菌薬として広く使用されております。カルバペネム系抗菌薬による治療の失敗は、患者の死亡につながる可能性が高いため、PK-PD理論を利用した最大限の効果が得られる投与方法を推奨いたします。PK/PD理論に基づくと、カルバペネム系抗菌薬は時間依存的な殺菌作用を示すことが知られており、近年の抗菌薬使用のガイドライン等におきましては、カルバペネム系抗菌薬は1日3、4回投与が推奨されております。そこで、当院におきましても、カルバペネム系抗菌薬が1日1または2回で処方された場合には、腎機能が低下している患者、すなわち、クレアチニンクリアランスが50 mL/minute以下の患者を除いて、1日3、4回投与に変更していただくよう感染制御チームあるいは薬剤部より主治医にご相談いたしますので、よろしくお願いいたします。なお、カルバペネム系抗菌薬は重症感染症の第一選択薬になりますので、耐性菌を発生させないために不必要な使用や長期投与は避けるようにしてください。以上、この文書の発出後、当院では1日1または2回投与はほとんど見なくなりました。

 

提供 : 株式会社スズケン



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