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<スズケンDIアワー> 平成24年2月2日放送内容より スズケン

選択的NK1受容体拮抗制吐薬 ホスアプレピタントメグルミン


日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科教授
勝俣 範之

icon ASCO2011ガイドラインから

制吐剤の使い方 ASCO2011ガイドライン

 2011年の最も新しい米国臨床腫瘍学会の最新のガイドラインでは、乳がんなどに使われるアンスラサイクリンとエンドキサンの投与するAC療法は、従来まではモデレートリスク、中等度催吐性の薬剤に分類されていましたが、2011年のガイドラインでは高度催吐性の薬剤に分類されています。
 従来まで、日本のガイドラインも含めて、高度催吐性の化学療法に対する急性期の嘔吐を抑制する制吐剤の推奨する薬剤は、アプレピタントに加え5-HT3受容体拮抗剤、プラスデキサメサゾンの3剤が推奨されています。
 遅発性の嘔吐を制御する薬剤として、アプレピタント、デキサメサゾンが推奨されていました。
 もっとも新しい2011年の米国臨床腫瘍学会のガイドラインでは、高度催吐性の薬剤に対する制吐剤について、変更がありました。それは、高度催吐性薬剤に対して、急性期の薬剤に対して、従来はアプレピタント(経口薬)だけであったのに対して、ホスアプレピタントが追加になっています。ホスアプレビタントは、静注製剤です。2011年の米国臨床腫瘍学会ではこのホスアプレピタントの静注製剤が追記になっているということです。

icon アプレピタントの特徴

 アプレピタントは、先ほどもお話しましたように、サブスタンスP、NK1受容体に高度な選択的親和性を持つ薬剤で、5-HT受容体やステロイド受容体とほとんど親和性を持ちません。動物モデルで化学療法に対する中枢性機序を介した制吐効果を示し、動物モデルや臨床試験で脳血液関門を通過し、NK1受容体を拮抗することが示されています。
 経口剤のアプレピタントは、既に日本でも2年前に承認になって、実際に使用されていますが、2011年のASCOのガイドライン、米国臨床腫瘍学会で改定がなされたホスアプレピタントが2011年12月から薬価収載され、実際の日常診療でも使えるようになりました。

icon ホスアプレピタントの臨床試験成績から

ホスアプレピタントは静脈内投与後速やかにアプレピタント に変換される

 ホスアプレピタントは、静脈内投与後静注製剤で、静脈内投与後速やかにアプレピタントに変換されるという薬剤です。
 ホスアプレピタントのエビデンスとしては、2011年にジャーナル・オブ・クリニカル・オンコロジーに発表されておりますが、この臨床試験は高度催吐性のシスプラチンを投与する患者に対して、ランダムに2群に分けて臨床試験を実施しました。
 コントロール群はプラセボ、プラスアプレピタント経口薬とオンダンセトロンとデキサメサゾンを投与するというものです。
 治療群に関しては、アプレピタント経口薬のかわりにホスアプレピタント注射製剤とプラセボ、オンダンセトロンとデキサメサゾンを投与する臨床試験でした。
 この試験は、アプレピタント経口薬に対する非劣勢を目指す試験でありましたが、アプレピタント経口薬と静注のホスアプレピタントは同等の効果を示しました。この結果をもとに米国でホスアプレピタントが承認されました。

日本人の高度催吐性化学療法に対するFosaprepitant (プロイメンド®)

 ホスアプレピタント(商品名:プロイメンド)は、日本でも治験が行われております。臨床試験のデザインに関しては、固形がんのシスプラチン70mg/m2以上を投与される患者347人に対して、コントロール群としては、この当時はまだアプレピタントの経口薬が、承認になっていませんでしたので、アプレピタントを使わずにプラセボとグラニセトロン、デキサメサゾンを投与する分に対して、治療群としては、ホスアプレピタント、静脈投与のd1に投与します。プラス、グラニセトロンとデキサメサゾンを投与する2群間のランダム化比較試験を行いました。

 日本人の高度催吐性化学療法に対するFosaprepitant

 その結果、経口薬アプレピタントとほぼ同等な結果と言っていいと思いますが、プライマリエンドポイントのコンプリートレスポンス(嘔吐なしかつ救済治療なしというエンドポイントに指定)、全期間d1からd5、5日間のコンプリートレスポンスに関して、ほぼ20%程度のレスポンスの改善を認めておりますし、急性期、遅発期においても、有意差を持って、ホスアプレピタント群が標準治療にまさるという結果になっています。
 この結果、日本でもホスアプレピタントの有効性が示されたわけで、昨年12月から実際に患者に使える状況になりました。まだ、日本のガイドラインでは、改訂が行われておりませんが、恐らく次回のガイドラインの改訂には、ホスアプレピタントが高度催吐性の化学療法に対して、有効な薬剤として、アプレピタントの経口と並んで記載がなされると思います。
 実際には、実証、認証の現場では、経口剤は経口がしづらい患者、ときには患者の飲み忘れや、臨床医の処方し忘れということがあるかと思いますので、注射製剤は実際の臨床現場でもかなり使われてくるのではないかと予想されます。

 

提供 : 株式会社スズケン



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