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<スズケンDIアワー> 平成24年2月9日放送内容より スズケン

ドライアイ治療用点眼液 レバミピド


京都府立医科大学眼科学教授
木下 茂

icon ドライアイのメカニズム

 ドライアイは眼表面で涙液層の破綻と修復の両方のプロセスが拮抗し、破綻の速度に修復が追いつかなくなることで生じます。

涙液

 通常、涙液層の安定性が低下しますと、知覚神経を通じて反射的に涙液量が増加し、安定性を回復させる方向に働きます。しかし、何らかのリスクファクターが存在する場合、上皮障害が上皮の濡れ性を低下させ、涙液層の安定性が保たれなくなって、さらに上皮が障害されるという悪循環が生じ、涙液層の破綻及びドライアイが引き起こされます。
 「2006年ドライアイ診断基準」でも、ドライアイは「さまざまな要因による涙液及び角結膜上皮の慢性疾患であり、眼不快感や視機能異常を伴う」と定義されており、ドライアイの要因となるリスクファクターが存在するということが、この診断基準の骨子であるかと思います。

icon リスクファクターの検討

 涙液層の安定性が低下するような主な原因としましては、@涙液が減少する、A涙液の蒸発が亢進する、B膜型ムチンの発現が減少して上皮層の濡れ性が低下する、Cまばたき、瞬目時の摩擦が亢進する、こういったものが考えられると思います。それぞれの原因を引き起こすようなリスクファクターを排除することが、ドライアイ治療に結びつく可能性がありますので、これを少し考えてみたく思います。

ドライアイの分類

 涙液の減少は涙液を出すための神経の遮断、あるいは涙腺の異常によって引き起こされます。代表的な疾患はシェ―グレン症候群ですが、加齢、糖尿病などの基礎疾患、あるいは服用している薬剤などもリスクファクターになり得ます。したがって、このようなリスクファクターを排除することによって涙液減少は軽減されます。たとえば、基礎疾患の治療や原因薬剤の変更というようなことが必要となる場合が考えられます。
 蒸発亢進というリスクファクターとしましては、エアコンを使用していること、コンタクトレンズを装用していること、さらにはマイボーム腺機能不全、瞬目不全、兎眼、下眼瞼下垂などの眼瞼に関連する異常が挙げられます。このようなことにつきましては、生活環境の改善や各症状に応じた治療を行う必要があると考えられます。
 膜型ムチンと呼ばれるムチンの異常によって濡れ性が低下して生じるドライアイは、BUT短縮型ドライアイと呼ばれています。この場合、リスクファクターの排除はなかなかに困難でして、ムチン分泌を促進するような点眼液を用いるような治療が必要であると考えられます。
 瞬目時の摩擦のリスクファクターとしましては、重症のドライアイ、すなわち重症の涙液減少症や結膜疾患、あるいはlid wiper症候群と言われるような病気が考えられます。これらは涙点プラグの使用や摩擦を引き起こす部分を減らすための手術などで治療できると考えられますが、lid wiper症候群に関しましては有効な治療手段がないのが現状です。

ドライアイの概念

 以上のようなことから、ドライアイのリスクファクターを排除するという考え方が大切ですが、有効な手段が見つからない場合も幾つかありえます。したがって、ドライアイ治療では、コアとなるメカニズムに直接作用するような治療法を開発することが当然のことであり適切であると思われます。

 

提供 : 株式会社スズケン



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