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<スズケンDIアワー> 平成24年2月9日放送内容より スズケン

ドライアイ治療用点眼液 レバミピド


京都府立医科大学眼科学教授
木下 茂

icon ドライアイ治療に対する日米の違い

 ドライアイ治療に対しての日米の考え方の違いについて、少しお話ししてみたいと思います。各国の標準的なドライアイ治療を比較してみますと、日本と海外、特にアメリカではドライアイの治療のときに重視する部分がいささか異なっておりまして、治療コンセプトも異なることがわかります。

ドライアイの発生機序の考え方

 日本での考え方は、涙液層の安定性の低下が上皮障害、上皮の濡れ性の低下につながる悪循環を招き、結果としてドライアイを生じるというものであり、メカニカルセオリーとも言うべきものでして、ヒアルロン酸の点眼が治療薬の第一選択となっています。診断時にはBUTが短縮しているかどうかを重視しまして、涙液の保水性を改善したり、眼表面の涙液量を増やしたりといった、ドライアイの症状に直結した治療を行います。治療の目安は、BUTや角結膜上皮の回復です。
 米国では、ドライアイの診断時に重視するのは眼表面の浸透圧の上昇です。これは炎症や浸透圧の上昇が上皮障害、ゴブレット細胞の減少、涙液層の安定性の低下などにつながり悪循環を起こすという考え方に基づいています。このため、米国のドライアイ治療では炎症反応の治療を重視しておりまして、第一選択はシクロスポリンの点眼液ということになります。
 しかしながら、ドライアイでは涙液層の安定性が低下しているという点につきましては日米の考え方が一致しています。ドライアイの治療手段として涙液層の破綻を阻止する作用を有する点眼薬があれば、炎症治療を重視する米国でも臨床において有用と評価される可能性が高いと思われます。涙液層の安定性を改善する治療を行うことができれば、さまざまなリスクファクターの検討は不要になりまして、コアとなるメカニズムの修復によって直接ドライアイを治療することができるというふうに思われます。

icon ドライアイ治療の現状と今後の展望

 従来、日本国内の標準的なドライアイ治療として、精製ヒアルロン酸ナトリウム点眼液と人工涙液の点眼による治療が行われてきましたが、実際、頻回投与が必要であるなどのデメリットもありました。また有効な手段とされる涙点プラグ挿入術では、適応が重症例に限られるというような課題もありました。
 そこで、軽症例から中等症のようなドライアイの治療におきましては、ムチン分泌の促進剤という全く新しいタイプの点眼薬、これが涙液層の安定性を改善させる作用を持つということで、大いに期待されています。またこれは世界へ向けて発信できる日本発の非常に貴重な点眼薬ということになるかと思われます。

icon 現在研究されているムチン分泌促進剤

 ムチン分泌促進剤ということについて、いま少しお話を続けさせていただきたいと思います。
 眼表面におきまして、ムチンの作用が明らかになって以来、ムチンの投与がドライアイを軽快、軽減させるのではないかというふうに考えられてきました。そこで、今までにも、眼表面のムチン発現を増加させるムチン分泌促進剤として、幾つかのものが研究されてきました。P2Y受容体作動薬、15-HETE、レバミピド、エカベトナトリウムなどであります。

涙液

 昨年から臨床現場で使用することができるようになりましたP2Y受容体作動薬でありますジクアホソルナトリウム点眼液は、角膜及び結膜上皮に存在するヌクレオチド受容体を作動させる作用があるとされています。そして結膜上皮からの水分分泌を促進させるのとともにゴブレット細胞からのムチンを分泌させるというような作用機序によりまして、ドライアイの治療効果を示すということが認められております。

 

提供 : 株式会社スズケン



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