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<スズケンDIアワー> 平成24年2月16日放送内容より スズケン

新薬の薬価算定根拠(37)


日本大学薬学部薬事管理学 教授
白神 誠

 前回の放送以降薬価基準に収載された新医薬品の薬価算定根拠について説明します。


icon イムセラカプセル・ジレニアカプセル

 有効成分は、フィンゴリモド塩酸塩で、イムセラカプセルは田辺三菱製薬、ジレニアカプセルはノバルティス ファーマの開発です。フィンゴリモド塩酸塩は、スフィンゴシン1-リン酸受容体の機能的アンタゴニストで、「多発性硬化症の再発予防及び身体的障害の進行抑制]を効能・効果とします。薬価算定については、効能・効果等が類似する遺伝子組換えのインターフェロンベーター1aの製剤であるバイオジェン・アイデック・ジャパンのアボネックス筋注用シリンジを比較対照薬に類似薬効比較方式(I)で行われました。本剤は、自己反応性リンパ球のリンパ節からの移出を抑制し、中枢神経組織への浸潤を抑制するという新規作用機序により、既存薬である製剤無効例に対する有効性が海外二重盲検比較試験で示されたことから、「臨床上有用な新規の作用機序」を有すると認められ、また、
・IFNβを対照に海外二重盲検比較試験を実施し、再発率を有意に低下させることが示されたこと
・日本国内の患者数は欧米と比較して少ないにもかかわらず、本剤投与患者100例以上を対象に、プラセボを対照とした国内二重盲検比較試験を実施し、日本人患者に対する有効性・安全性を明らかにしたこと
・既存薬はすべて注射薬であるのに対し、本剤は内服薬であり患者の負担を軽減できること
などから、「治療方法の改善」も認められると判断され、有用性加算Tが適用されました。ただし、製造販売後に長期投与時での有効性、安全性を更に検討することとされていることから、限定的な評価とされ、加算率40%が適用されました。また、本剤は希少疾病用医薬品であり、比較薬は市場性加算を受けていないことから、市場性加算Tも適用されました。ただし、同じ適用の医薬品が既に2剤あることなどから、こちらも限定的な評価とされ、加算率10%が適用されています。


icon テラビック錠

 有効成分は、テラプレビルで、田辺三菱製薬の開発です。テラプレビルは、HCV NS3-4Aプロテアーゼ選択的阻害作用を有し、「セログループ1(ジェノタイプT(1 a)又はU(1b))のC型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善 」を効能・効果とします。ただし適用は、血中HCV RNA量が高値の未治療患者 又はインターフェロン製剤単独療法あるいはリバビリン併用療法で無効又は再燃となった患者 のいずれかに限定されています。薬価算定については、効能・効果等が類似するリバビリンの製剤である、MSDのレベトールカプセルを比較対照薬に類似薬効比較方式(T)で行われました。ただし、比較対照薬については、実使用量に基づくクール薬価を求め、これを国内臨床試験における本剤+比較薬のクール薬価と合わせることにより算定を行っています。本剤は、HCVウイルス増殖を直接抑制する新規作用機序を有し、既存の標準治療である2剤併用療法への上乗せ投与により、早期にHCV RNA量の急速な減少が認められていること等から、「臨床上有用な新規の作用機序」を有すると認められ、また、本剤を含む3剤併用療法は、日本人に最も多い難治性のgenotype 1b 型高ウイルス量C型慢性肝炎患者に対し、既存の標準治療に比し半年〜1年短い治療期間で高い治療効果を発現し、国内ガイドラインにおいて、本剤上市後は、本剤を含む3剤併用療法が既存の標準治療に代わる治療法として推奨されていることから、「治療方法の改善」も認められると判断され、有用性加算Tが適用されました。ただし、製造販売後に、本剤の安全性及び有効性に関するデータを収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じることとされていることから、限定的な評価とされ、加算率40%が適用されています。

 

提供 : 株式会社スズケン



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