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<スズケンDIアワー> 平成24年3月8日放送内容より スズケン

医薬品・医療機器等安全性情報―最近の話題(27)医薬品副作用被害救済制度における不支給事例と医薬品の適正使用―


NTT東日本関東病院 薬剤部長
折井 孝男

icon 給付対象とならない場合

救済給付の対象とならない場合

 救済給付の対象にならない場合もありますので,気をつけなければなりません。救済給付されない場合とは、
ア. 法定予防接種を受けたことによるものである場合があります。これは予防接種法に基づく予防接種健康被害救済制度があるためです。
イ. 製造販売業者など,他に損害賠償の責任を有する者が明らかな場合。
ウ. 次に、救命のためやむを得ず通常の使用量を超えて使用したことによる健康被害で,その発生があらかじめ 認識されていた等の場合です。
エ. 使用目的・方法が適正と認められない場合(厚生労働大臣が承認した効能・効果以外の目的で使用した場合や添付文書の使用上に注意に従わずに使用された場合など)。
オ. 対象除外医薬品による健康被害の場合について。
対象除外医薬品とは、@がんその他の特殊疾病に使用されることが目的とされている医薬品であり,厚生労働大臣の指定するもの。例えば、抗がん剤,免疫抑制剤などです。A人体に直接使用されないものや,薬理作用のないもの等副作用被害発現の可能性が考えられない医薬品の場合、例えば、殺虫剤,殺菌消毒剤,体外診断薬などがあります。
カ. 入院を要すると認められる場合に必要な程度の医療を受けていない場合等の軽度な健康被害や障害の程度が既定の等級に該当しない場合。
キ. 請求期限が経過している場合。
ク. その他,厚生労働省の薬事・食品衛生審議会における,医学・薬学的判定において認められなかった場合。疾病,障害等が医薬品の副作用によるとは考えがたいと判定された場合(医薬品により発現したものとは認められない場合です)。提出された書類の不足等のため,因果関係,適正目的・適正使用がなされたか否かといった判定ができない場合(つまり、判定不能の場合です)。

icon 救済給付されない事例

不給付の理由

 支給されない事例の概況について、医薬品副作用被害救済制度においては,平成23年10月末までに,約9,000人に救済給付がなされました。しかし、その一方で,約1,500人に対しては支給されない決定がなされています。平成22年度には支給の決定が実人数として813人に対して行われましたが,97人に対しては支給されない決定がなされています。
 支給されない決定件数の割合は決定件数全体の12%です。
 支給されない理由として最も多いのは「医薬品により発現したものとは認められない」内容です。すなわち発現した健康被害と当該医薬品との因果関係が認められない場合です。これは支給されない理由として42%を占めました。
 次に,「入院を要する程度に該当しないまたは給付対象の障害の等級に該当しない」という理由が21%,3番目に多いのは,「使用目的・方法が適正と認められない」と「判定不能である」とでそれぞれ15%でした。

使用目的・方法が適正と認められなかった具体例

 使用目的、方法が適正と認められなかった例として、検査未実施の場合の事例として、必要な検査が実施されていないために,使用方法が適正と認められないとされたチアマゾールによる無顆粒球症、ベンズブロマロンによる劇症肝炎、サラゾスルファピリジンによる無顆粒球症などの事例があるため,「使用上の注意」の内容に留意し,適正使用に努めなくてはなりません。
 次に、承認された効能又は効果,用法及び用量によらずに使用された事例として、グリチルリチン酸一アンモニウム・グリシン・L-システイン塩酸塩水和物による偽アルドステロン症のような事例も使用目的・方法が適正と認められないとされました。
 使用上の注意を遵守しないで使用された事例としては、添付文書の「使用上の注意」に記載された「禁忌」や「重要な基本的注意」の項の記載によらずに使用したリドカイン塩酸塩・アドレナリン注射剤による皮膚潰瘍、アモキシシリンによる汎発型薬疹のような事例も使用方法が適正と認められないとされました。
 自己判断で使用した事例では、医師の処方により使用される医療用医薬品を自己判断で使用したり,家族に処方されていた医療用医薬品を,診療を受けていない者が使用したカルバマゼピンによる薬剤性過敏症症候群(DIHS)、総合感冒剤による薬物性肝障害のような場合も自己判断による使用であり,使用目的・方法が適正と認められないとされました。

 

提供 : 株式会社スズケン



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