→ 番組表はこちら
→ストリーミング版はこちら
<スズケンDIアワー> 平成24年3月15日放送内容より スズケン

不眠症治療薬 エスゾピクロン


日本大学精神医学系教授
内山 真

icon はじめに

 エスゾピクロンは、超短時間作用型非ベンゾジアゼピン睡眠薬ゾピクロン(R異性体とS異性体の2種類の混合)から中枢作用を持つS-異性体を単離したものです。
 中枢作用のないR-異性体を含まぬため、用量あたりの中枢神経系に対する力価がゾピクロンの2倍となります。2005年4月から米国で販売され、日本においては本年に上市されることになっています。経口摂取して1-1.5時間くらいで血中濃度がピークになり、半減期が6時間くらいと、薬物動態の特性からは超短時間作用型ないし短時間作用型に分類されます。
 錠剤は1,2,3mgがあり、成人の不眠患者には2-3 mg、高齢者では1-2mgが適用されます。低用量で入眠障害を中心とした治療効果、高用量では入眠障害だけでなく中途覚醒などの睡眠維持障害にも効果がみられます。
 これらの用量において、服用後の苦み以外には、重篤な副作用はみられず、概して安全で有用な睡眠薬と考えられています。
 エスゾピクロンの開発では、不眠に対するとらえ方の変化を踏まえ、各科における不眠症の臨床に即し、多くの質の高い臨床研究が行われたのが特徴です。この中から、いくつかを紹介していきたいと思います。

icon 長期投与の影響と生活の質

 不眠症については、適切な時間帯に床で過ごす時間が確保されているにもかかわらず、夜間睡眠の質的低下があり、これによって日中に生活の質の低下がみられる状態という定義されます。不眠症治療においては、患者が望む分だけ眠らせることが治療のゴールではなく、不眠による日中のQOL低下を改善するのが治療のゴールと考えられるようになっています。エスゾピクロンは夜間の睡眠困難を改善するだけでなく、それにより損なわれた日中のQOLを改善することが多数例のプラセボ対照試験で明らかになっています。

自覚的睡眠潜時

 788例の不眠症患者を対象にした二重盲験プラセボ比較試験において、エスゾピクロン3mgは6ヶ月にわたって入眠潜時を短縮し、中途覚醒を減らし、総睡眠時間を増やし、睡眠の質も改善させました。

自覚的日中覚醒度

 さらに服用した次の日における生活の質、すなわち自覚的日中覚醒度、日中の機能、自覚的身体的健康度ともにプラセボ投与群に比べて実薬投与群で有意に改善していました。これに引き続く6ヶ月間のオープン試験を含めると、12ヶ月にわたる投与でも睡眠および日中のQOLに対する効果とも持続し、慣れ、つまり耐性を生じませんでした。これとは別の800例という多数例の不眠症への二重盲験プラセボ比較試験において、エスゾピクロン3mgを6ヶ月連続投与で、中の生活の質の改善だけでなく、体調不良による勤務中の社会機能障害についても有意な改善が見られています。

 

提供 : 株式会社スズケン



1 2 3 次項へ