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<スズケンDIアワー> 平成24年3月15日放送内容より スズケン

不眠症治療薬 エスゾピクロン


日本大学精神医学系教授
内山 真

icon 精神疾患と不眠

 不眠はうつ病の必発症状であり、うつ病患者の生活の質やその苦痛という点からも臨床的に重要な症状です。これについては、うつ病が治れば不眠もなおるのであえて睡眠薬を使用する必要が無いと追い考えと、不眠の苦痛を適切に和らげた方がうつの治療が効果的に行えるという考えがありました。しかし臨床的エビデンスがないままに論議がなされていました。

睡眠薬の併用はその他の抑うつ症状の改善に役立つ

 545例の不眠を伴った大うつ病の患者に対し、朝にSSRIを投与することとし、これに加え無作為二重盲験法で就眠前にエスゾピクロンあるいはプラセボを投与して8週間の治療経過を観察しました。その結果、エスゾピクロン併用群ではエスゾピクロン非併用群と比べ、4週後および8週後の評価で抑うつ症状の有意に大きな改善が認められました。これに引き続く2週間の単盲験によるプラセボ投与において、エスゾピクロンを中断しても離脱に関連すると考えられるような反跳性不眠や抑うつ症状の悪化も観察されませんでした。また、エスゾピクロン中断期の後においても、エスゾピクロン併用群ではエスゾピクロン非併用群と比べて有意に抑うつ症状が改善していました。不眠を伴ったうつ病では初期に不眠を治療した方がその後の治療経過がいいことを示す結果となりました。この他にも、不眠を伴ううつ病に対してエスゾピクロンをSSRIと併用した場合、SSRI単剤の場合と比べて、睡眠や抑うつ症状の改善だけでなく、健康に関連したQOLの改善が見られたとの報告があります。
 全般性不安障害では不眠を併存することが多いが、こうした症例においてもエスゾピクロン併用が不安症状の改善にも有用であったという研究があります。不眠を併存する全般性不安障害595例に対してSSRIによる治療を行うとともに、8週にわたりエスゾピクロン3mgあるいはプラセボを二重盲験法で無作為に投与したところ、エスゾピクロン併用群では非併用群と比べて、夜間睡眠と日中の社会機能を改善とともに、不安症状が有意に改善していました。
 不眠を伴った心的外傷後ストレス障害(PTSD)患者において、3週間エスゾピクロン3mgあるいはプラセボを二重盲験法で無作為に投与したところ、エスゾピクロン併用群では非併用群と比べ不眠だけでなくPTSDの症状も有意に改善したことが報告されています。不眠を伴ううつ病あるいは不安障害において、初期からエスゾピクロンによる不眠の治療を行った方が精神疾患自体を効率的に治療できることを示唆しています。

 

提供 : 株式会社スズケン



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