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<スズケンDIアワー> 平成24年4月5日放送内容より スズケン

直接作用型Ⅹa因子阻害経口抗凝固薬 リバーロキサバン


東海大学内科学系教授
後藤 信哉

icon 新規経口抗凝固薬 リバーロキサバン

 リバーロキサバンでは、大規模な臨床試験が深部静脈血栓症の予防治療、心房細動の患者に対する脳梗塞発症予防、そして一番最近に発表された急性冠症候群患者の心筋梗塞再発予防に関する試験が主な試験として発表されています。
 実臨床の場で経口抗凝固薬を実地医が使用する場合、心房細動の患者に対する脳梗塞発症予防を期待しての場合が多いと思います。そのような観点からは、リバーロキサバンについては、PT-INRを2から3を標的としたワルファリン治療に対する有効性、安全性を比較するROCKET試験というものが発表されております。この試験は、日本を含まない世界の欧米を中心とする国々において、心房細動患者を登録して、無作為に二重盲検のもとにリバーロキサバンないしワルファリン群に割り振り、2年間にわたって脳梗塞の発症予防効果を見た試験です。
 もともと検証した仮説は、PT-INR 2から3を標的としたワルファリン治療に対して、リバーロキサバンは劣ることがない(非劣勢)という仮説を検証しました。実際に行われた試験では、ワルファリンに比較してリバーロキサバンに割り振られた症例数では、数の上では脳梗塞の発症は少なかった。ただし、優位さを持ってワルファリンと比較してリバーロキサバンが脳卒中の発症予防効果があることまでは示すことができませんでした。

icon リバーロキサバンの特徴

 ほかの経口抗凝固薬と比べてリバーロキサバンに特徴的なことは、別途、日本人だけの試験も行ったことです。心房細動患者に対して、日本人を対象としてJ-ROCKET試験が行われました。登録された患者数が少ないので、ワルファリンに対する非劣勢を有効性について示すことは難しいので、この試験は安全性を中心に解析をした試験になってまいります。欧米人に比較すると、一般論として日本人は体格が小さいので、薬剤の至適用量が少ない場合が多いです。リバーロキサバンの心房細動の脳梗塞発症予防試験では、欧米を中心とする世界で使われた用量に対して、日本人では3/4ほどの用量が選択され、有効性と安全性が欧米の試験とほぼ似たような結果が示されました。このような点が、他の新規経口抗凝固薬に比べて、リバーロキサバンの試験の特徴として上げられると思います。
 新規経口抗凝固薬として、抗トロンビン薬;ダビガトラン、抗Xa薬;アビキサバンの試験は、日本も世界における仮説の検証に加わるという形で参加しました。しかし、リバーロキサバンにおいては、世界は世界で別途の試験を行い、日本は日本人に最も適していると思われる用量に関して別途試験を行ったという点が特徴です。
 国際共同試験において仮説を検証することの意味においては、非常に大量の患者の協力が必要になってきます。日本から登録した症例だけで仮説を検証することは難しいです。その意味では、国際共同試験に日本が参加して、世界における仮説の検証に日本が関与することは、大きな意味があると思います。
 一方、先ほど申しましたように、一般論として日本の患者は欧米の患者よりも体格が小さいので、日本人の至適薬剤用量は、欧米に比べると少ないというのが一般的な理解だと思います。その意味では、リバーロキサバンにおいて行われた日本人に別途試験を行うことも、日本人に対する有効性と安全性に最も適した用量を選択する点で意味があったのではないかと思います。
 心房細動の脳卒中予防に関しては、ダビガトラン、アビキサバンでもリバーロキサバンと同様の試験が行われましたが、リバーロキサバンがもう一つ特徴的であるのは、動脈系の血栓症と言われている急性冠症候群後の心筋梗塞、心血管死亡を対象とした試験を行ったことです。この試験は、アトラス試験と呼ばれております。この試験においては、世界における仮説の検証に日本人も参加するという形で試験が行われました。急性冠症候群の患者に対しては、既にアスピリン、クロピドグレルなどの抗血小板併用療法が標準的治療として行われています。これら抗血小板薬に加えて抗凝固薬を追加することにより、重篤な出血性合併症が増えるリスクがあります。もともと出血リスクが増えることが想定されていたので、アトラス試験では心房細動の予防試験において用いられた用量の1/4という極めて少量のリバーロキサバンが使われることになりました。重篤な出血性合併症は増加しましたが、1日2.5㎎という非常に少量を用いた場合、2.5㎎を1日2回用いた場合には、心血管死亡率、心筋梗塞発症率を減らすことができた。抗凝固薬を使用して急性冠症候群後の心筋梗塞、心血管死亡の再発を減らすことができたという意味では、ほぼ初めての試験になったということで、臨床の科学においてアトラス試験は大きなインパクトを持っていると理解されています。

icon リバーロキサバンの今後の展開

 リバーロキサバンは、新規経口抗凝固薬として患者の集団に対して有効性と安全性を検証してきました。ただ、先ほどから何度も申し上げているように、この患者の集団に対して検証された有効性、安全性は、先生方の目の前の個別の患者にも同じように当てはまるかどうかはわかりません。我々は薬剤が認可、承認されたとしても、そこでようやくスタートポイントに立っているわけです。これから新規経口抗凝固薬について、臨床的に、日本の患者の経験を蓄積して、どのような患者がワルファリンに比較して本当の意味でのメリットを得るのか、数値データベースとして今後のデータの積み重ねというのが必要になっているというのが今の状況ではないかと思います。

 以上、新規の経口抗凝固薬、リバーロキサバンについての話題を提供させていただきました。

 

提供 : 株式会社スズケン



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