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<スズケンDIアワー> 平成24年4月12日放送内容より スズケン

アミド型局所麻酔薬 リドカイン・プロピトカイン配合クリーム


帝京大学皮膚科教授
渡辺 晋一

icon はじめに

 麻酔の発見により近代の外科は、発展してきましたが、皮膚の麻酔に関しては、我が国では、関心が持たれることはあまりありませんでした。一方、近年のレーザー医学の発達によりレーザー治療が盛んに行われるようになりましたが、レーザー治療時の疼痛緩和目的の外用局所麻酔薬がなかったため、ある時は無麻酔下でレーザー治療が行われて、患者に苦痛を強いることになり、またある時は全身麻酔下でレーザー治療が行われ、医療費高騰の要因になっていました。
 この度本邦初の「皮膚レーザー照射療法時の疼痛緩和」に効果を発揮するアミド型局所麻酔薬リドカイン・プロピトカイン配合クリーム(商品名:エムラクリーム)が2012年1月18日に製造販売承認されました。

icon リドカイン・プロピトカイン配合クリームの特徴

 リドカイン・プロピトカイン配合クリームは、リドカイン及びプロピトカインの共融混合物に乳化剤及び基剤を加えてクリームとした外用局所麻酔薬です。本剤は1984年にスウェーデンで初めて承認され、その後、世界約70ヵ国で承認を取得し、皮膚の小手術やレーザー照射療法時などの疼痛緩和を目的として世界中で汎用されています。

エムラクリーム

 一般に皮膚の神経終末の多くは真皮に存在するため、麻酔効果を発揮するために皮膚表面に投与された局所麻酔薬は角質層を通過して真皮に到達する必要があります。角質層は角質細胞が重層した構造をもち、吸水性に富んでいますが、角質細胞間には細胞間脂質があり水溶性物質のバリアとしての役割を果たしています。従って局所麻酔薬が角質層を通過して真皮に到達させるためには、脂質層を通過できる疎水性の局所麻酔薬を高濃度に含み、水分含量の高い製剤が必要となります。
 リドカイン・プロピトカイン配合クリームはその有効成分であるリドカインとプロピトカインの融点はそれぞれ、約68℃、38℃と室温では固体として存在するため、これらの単独処方のクリームを調製する場合には薬剤に適当な可溶化剤を添加して融解し、液状にしてから乳化する必要があります。しかしリドカインとプロピトカインを等モル混合すると融点が下がり液状の共融混合物となります。この共融混合物を用いて製剤化することにより、水分含量が高く、油滴中に高濃度の局所麻酔薬を含む製剤の調整が可能となりました。
 リドカイン・プロピトカイン配合クリームを皮膚に塗布すると、水相に溶解した有効成分が角質層を通過して真皮に到達します。また皮膚からの吸収により水相から減少した有効成分は、水相中の油滴から補填されます。油滴中から水中への補填速度は油滴中の有効成分濃度に依存するため、リドカイン・プロピトカイン配合クリームムは有効成分の皮膚への透過性を高めることができると考えられています。
 リドカイン・プロピトカイン配合クリームの組成ですが、エムラクリームは、1g中にリドカインとプロピトカインをそれぞれ25mg配合した製品で、薬剤を溶解する油分などは配合されていません。このため、水相中に高濃度の薬剤を含む油滴を分散することができ、薬剤の皮膚に対する浸透性が向上しています。また、防腐剤などは配合されていません。性状は白色のクリーム(O/W型)です。

用法・用量

 用法・用量は、通常、成人には、レーザー照射予定部位に10cm2あたり本剤1gを、密封法により60分間塗布します。塗布後、本剤を除去し、直ちにレーザー照射を行います。なお、1回あたりの塗布量は10gまでとし、塗布時間は120分を超えないこととなっています。
 具体的にはリドカイン・プロピトカイン配合クリームを塗布後、フィルムドレッシング材やラップなどのポリエチレンフィルムで60分間密封します。フィルムを除去後、ガーゼなどでクリームをキレイに除去してから直ちにレーザー照射を行ってください。この際、皮膚にクリームが白く残っていると、レーザーがクリームによって散乱して標的に到達できなくなるため、クリームはきれいに除去してください。

 

提供 : 株式会社スズケン



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