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<スズケンDIアワー> 平成24年5月10日放送内容より スズケン

ニューモシスチス肺炎治療薬 アトバコン


東京医科大学臨床検査医学教授
福武 勝幸

icon ニューモシスチス肺炎の診断

ニューモシスチス肺炎

 ニューモシスチス肺炎の症状として代表的なものは、発熱、乾性咳嗽、労作時呼吸困難とされていますが、HIV感染者では血液腫瘍疾患などと比べると、症状の進行が遅いことが多く、発熱と乾性咳嗽が数週間続いた後、労作時呼吸困難の症状が出現し来院する例がしばしばみられます。しかし、労作時呼吸困難を訴える頃からは症状も画像所見も急速に悪化することがあるので注意が必要です。肺外病変としては稀ですが、リンパ節、脾臓、骨等の報告があります。ニューモシスチス肺炎の確定診断には、誘発喀痰や肺胞洗浄液などの気道由来検体からグロコット染色などにより病原体を検出することが必要ですが、重篤な状態の患者では治療的診断にならざるを得ないことがあります。そのほかの補助的診断法として、真菌由来成分のβ-D-グルカンの高値、肺胞上皮細胞由来成分のシアル化糖鎖抗原KL-6の高値や傷害肺組織由来成分として血中乳酸脱水素酵素LDHの高値などが有用ですが特異的な指標ではないため注意が必要です。

ニューモシスチス肺炎の画像診断

 ニューモシスチス肺炎の診断には画像検査が重要です。胸部単純X 線写真では、両側性、びまん性に広がる間質影すなわち「すりガラス様陰影」が典型的です。しかし、初期には胸部単純X線では所見を認めないこともあります。この様なとき、症状などからニューモシスチス肺炎を疑う場合は胸部CT 検査が有用です。胸部CTでは、肺門周囲部を優位とする、両側びまん性で濃淡のある淡いすりガラス様陰影が典型的所見です。その他、粟粒影、囊胞、浸潤影等を呈することがあります。胸膜直下での病変がスペアされる様子は比較的特徴的なCT所見と言われています。ニューモシスチス肺炎の典型的なガリウムシンチグラムでは、肝の集積と同程度の強い集積が全肺野にびまん性に認められます。ただし、この取り込みは特異的なものではないので、アレルギー性肺臓炎などびまん性の炎症を生じる疾患で共通していることに注意が必要です。

 

提供 : 株式会社スズケン



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