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<スズケンDIアワー> 平成24年5月17日放送内容より スズケン

クリオピリン関連周期性症候群治療薬 カナキヌマブ(遺伝子組換え)


横浜市立大学大学院発生育成小児医療学教授
横田 俊平

icon CAPSの病態

 クリオピリン関連周期性発熱症候群(CAPS)は、周期性発熱症候群のひとつです。自己炎症症-*候群に分類されていますが、これは炎症を誘導する外因子がないのに、炎症に関わる分子の遺伝子異常を背景として、自然と炎症を繰り返す一群の疾患です。CAPSの頻度はきわめてまれですが、全国で50〜100名の患者さんがいるものと推定されています。
 そもそも周期性発熱症候群とは、病気としては古くから知られている家族性地中海熱などを含みます。最近になり、これらの疾患の炎症を起こす分子メカニズムが明確になり、治療法も確立し、再び脚光を浴び始めたというところでしょうか。

CAPSの病態,病因及び診断

 CAPSには重症度の違いにより家族性寒冷自己炎症症候群(FCAS) 、Muckle-Wells症候群(MWS)、新生児発症多臓器炎症疾患(NOMID)の3症候群が含まれます。臨床症状は蕁麻疹のような皮疹、周期性の発熱、中枢神経の炎症、関節症状などであり、MWS、NOMIDは長期経過で持続する炎症によりアミロイドーシスを発症する例が多く、もっとも重篤な疾患です。とくに、NOMIDは約20%が20歳までに予後不良となります。また、中枢神経の炎症は慢性髄膜炎による頭痛、聴力障害・視力障害という形で進行します。大腿骨の末端が「松の木のコブ」のように大きく肥大し関節炎を繰り返すことから、歩行障害が進行することも多く、生活障害はたいへん著しいものになります。

CAPSにおける病態

 21世紀に入り、発症のメカニズムが明らかにされました。昨年のノーベル医学・生理学賞の3人の受賞者は、いずれも炎症のメカニズムを明らかにした人々です。ヒトに起こる炎症は、ウイルスや細菌などの感染因子やアポトーシスによる細胞破砕物が体内の樹状細胞やマクロファージをToll-like receptorやMDA5、NLRP3などの受容体を介して刺激し、細胞内で情報伝達が行われて、最終的に遺伝子産物であるI型インターフェロンや炎症性サイトカインを分泌することから始まります。この分子メカニズムが詳細に解明されたのです。CAPSではその一部に遺伝子の異常が生じているために、炎症性サイトカインの1つであるIL-1βが繰り返し分泌され、炎症を生じていることが判ったのです。

 

提供 : 株式会社スズケン



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