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<スズケンDIアワー> 平成24年5月17日放送内容より スズケン

クリオピリン関連周期性症候群治療薬 カナキヌマブ(遺伝子組換え)


横浜市立大学大学院発生育成小児医療学教授
横田 俊平

icon カナキヌマブの特徴

カナキヌマブの効果

 カナキヌマブは皮下注射で投与しますが、血清中のカナキヌマブ濃度は約1週間後にピークとなり、半減期は約26日です。CAPSではIL-1βの産生・分泌がきわめて多いのですが、カナキヌマブの投与により血中IL-1β量は健常人レベルにまで減少します。カナキヌマブは血中のIL-1βを中和するのみならず、遺伝子変異の存在するインフラマゾームという蛋白を介したIL-1β産生にnegative feedbackをかけていることも推察されています。
 CAPSに対するカナキヌマブの臨床試験を行った結果、カナキヌマブはCAPSの子どもさんに著しい効果があることが判明しました。そして、昨年12月には厚労省の認可を得ることができました。このように予後の悪い疾患が医学の進歩で、炎症の進展を抑制できるようになった意義はきわめて大きいものがあると思います。また、医学的にみても炎症という現象が、IL-1βという炎症性サイトカインによって生じていたのが直接に証明できたことになり、その意義も大きいと考えます。
 一方で、カナキヌマブの臨床試験中に起こった有害事象として鼻咽頭炎、上気道炎、胃腸炎など一般的な感染症がわずかですが増加しました。カナキヌマブにより炎症惹起因子であるIL-1βが阻害され感染に対する防御起点が発動できないためであることが判りました。肺炎など、炎症を見ぬ間に、感染病原体が身体の奥深くへ入り込む可能性がつねにあり、カナキヌマブ使用中は感染症に対して十分な注意を払う必要があると思われます。

 CAPSに対してこれまでは、非ステロイド抗炎症薬、ステロイドが用いられてきました。長期にわたり比較的大量に用いられることになるので、肥満、成長障害、骨粗鬆症などの副作用に悩まされてきました。しかし、IL-1βを阻害する生物学的製剤としてアナキンラ、リロナセプト、カナキヌマブが開発され、そのうちカナキヌマブがわが国でも治療に使用できるようになった意義にはきわめて大きいものがあります。効果的にかつ安全にカナキヌマブを使用し、CAPSの子どもさんたちの苦しみを少しでも和らげることができれば小児科医にとって望外の喜びであることは言うまでもありません。

 

提供 : 株式会社スズケン



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