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<スズケンDIアワー> 平成24年5月31日放送内容より スズケン

レストレスレッグス症候群治療薬 ガバペンチン エナカルビル


東京医科大学睡眠学講座教授
井上 雄一

icon レストレスレッグス症候群

 きょうはレストレスレッグス症候群(むずむず足症候群)の治療薬として新しく登場したガバペンチンエナカルビル(以下GE:商品名レグナイト)の概略と使用法についてお話をさせていただきます。
 レストレスレッグス症候群というのは、今でも聞きなれない名前かもしれませんが、実は17世紀から知られており、足がむずむずする、そのためにじっとしておれず、夜眠れないということで、非常に患者を悩ませる病気です。レストレスレッグス症候群という名前はスウェーデンの神経学者、カール エクボムによって1945年に命名されました。 この病気の有病率は白人では5-10%、日本人で2-4%と言われています。比較的有病率が高いのですが、夜にむずむずしてじっとしていられない、安静にしていると悪くなるということから、不眠を起こしやすいことが知られています。また、この病気に対する睡眠薬治療は効果が薄いことが多く、別途の薬剤の必要性が考えられてきました。
 この病気は、かなり強い不眠を起こしますし、不安障害、うつ病、高血圧、そして心臓血管系の合併症を起こしやすいことが判明しています。この病気に関しては、1990年代からドパミン系の製剤であるL-ドーパやドパミンアゴニスト、具体的にはブラミベキソールやロピニロールなどが用いられており、我が国では2-3年前にブラミベキソール(商品名:ビ・シフロール)が保険適応を得たという経緯があります。
 確かにブラミベキソールはレストレスレッグス症候群に効果があるのですが、増量したり長期間連用すると効かなくなってしまいます。使えば使うほど症状が悪化する、症状促進現象があり、途中で治療からドロップアウトしてしまうケースもあることが問題視されていました。これは、ドパミンU型・V型の受容体の問題ではあるのですが、症状促進現象の可能性から、ドパミン系とは全く作用機序の異なる薬剤が必要であると考えられてきました。

icon ガバペンチンエナカルビルの特徴

 そのような背景から生まれてきたのがガバペンチンエナカルビルです。

A)gabapentinとB)gabapentin enacarbilの構造式

 もともとこの薬剤は、抗けいれん薬あるいは疼痛抑制剤として知られていたガバペンチンを進化させたものです。ガバペンチンは脳内のGABA系に働き、GABAのトランスポーターの活性化によってGABA神経機能を高めるのですが、従来のガバペンチンは消化管での吸収が非常に不安定で、血中濃度の個人差が非常に大きい、用量依存性の血中濃度上昇がなかなか得にくいという弱点がありました。このガバペンチンエナカルビル(GE)は、透過改善型のプロドラッグで、上部消化管からの吸収を促進すること、さらには二層構造で、速効型部分と徐放型部分に分かれており、比較的血中濃度が長時間保たれやすいという工夫もなされています。この薬剤はアメリカで開発されて、幾つかの開発治験を経て、FDAで認可され、アメリカでは既に保険適用を得ています。日本でも、アメリカに少しおくれて2006年ごろから開発治験が行われ、フェーズUbとフェーズV、長期投与試験を経て、その有効性が確認されております。

ベースラインと投与12週目でのRLS症状発現時刻の変化

 何よりも好ましいのは、確実にこのレストレスレッグス症候群の症状を抑えるとともに、これに付随した不眠症状を改善することです。ここが非常に重要なポイントですが、プラミベキソールでは、やめたあと比較的早い時期にリバウンド効果が見られて、ぐんと症状が悪くなることがありますが、GEの場合にはそういう問題点は見られません。
 また、症状促進現象が、本剤の長期投与試験において全く見られなかったという点も重要で、これらの点でプラミベキソールよりもすぐれていると考えられます。

 

提供 : 株式会社スズケン



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