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<スズケンDIアワー> 平成24年6月07日放送内容より スズケン

DI実例集(174)薬剤師による疑義照会後の処方変更およびDo処方の入力プロトコル―


旭川医科大学病院薬剤部副薬剤部長
粟屋 敏雄

icon 薬剤師入力の電子記録

 当院の病院情報システムは最新のものでないため、今まで述べましたように紙カルテとの併用を行っております。また、処方オーダー入力システムと電子カルテシステムの完全に独立した二つのシステムから構成されています。すなわち、処方オーダーシステムに入力された情報だけでは電子カルテの三原則を満たさず、電子カルテシステムに取り込まれることでこれを充足します。このことは、薬剤師による処方オーダー入力時に薬剤師のアカウントでログイン後、処方を許可した担当医を選択する方法となり、処方オーダーシステム上では担当医が処方した形での記録となることを意味します。しかし、リアルタイムで送信される電子カルテシステム上の記録においては、ログインユーザーである薬剤師が街頭処方の更新を行った記録が残ることで、これを補完することを可能としています。

icon 考察

 平成24年からは、六年制教育を受けた薬剤師が医療現場で活躍することになります。医療現場にあっても、多くのことを学んできた「医療に秀でた薬剤師」を活用できる業務を展開する必要があります。それは、薬剤師養成教育が六年制になったことへの社会への回答でもあると思います。それには、これまで以上に薬剤師がチーム医療に参加し、患者の薬物療法の安全性、有効性に積極的に加わる必要があります。すなわち、薬剤師が患者の状態や持参薬などを的確にアセスメントして、薬物療法全体について判断し、最適な処方提案を医師に積極的に行うことが求められていると思います。
 このような状況下で、医政局長通知が発出されています。この通知の内容を上手に活用すれば、病院薬剤師及び保険薬局の薬剤師業務を格段に広げることが可能であると考えます。
 当院薬剤部では、十数年前から薬剤師の病棟常駐化を進めてきており、医療スタッフの薬剤師への信頼性が培われてきました。そこで、まずできるところから、しかも薬剤師にとってのハードルは高いが、医師から見ればニーズが高い業務として、疑義照会後の処方変更及びDo処方入力を選定しました。多くの医師と協議をしていく中で、常備薬の使用入力と持参薬の入力も行ってほしいとの強い要望が出されました。医政局長通知に基づくためには、薬剤師による薬物療法のモニタリングが必須であると考え、それに沿った内容でプロトコルを作成しました。作成したプロトコルに対しては、医師側からはほとんど異論はなく、歓迎する意見が圧倒的でありました。また、看護師側からも、医療安全面及び業務面から歓迎する意見が多く聞かれました。薬剤師の面から見れば、処方入力という責任を伴う業務がふえたことに対する緊張感はあるものの、薬剤師の業務のハードルを一つ越えたことに対する期待のほうが大きいと考えます。プロコルを作成して実際の業務期間はまだ浅いため、細かな問題点等は今後検討していく必要があります。しかし、医師及び看護師からは極めて良好な意見が多く聞かれます。
 薬剤師による処方変更入力は、抗がん剤の規格の組み合わせの変更入力が報告されています。一方で処方入力は、従来から行われている薬剤師による代行入力が多く報告されています。しかし、代行入力は病棟クラーク等にも既に認められていることで、責任の所在が不明確です。薬物療法の安全性、有効性を担保する上では、薬剤師がしっかりとモニタリングを行い、責任を持って薬剤師のパスワードで入力し、記録を残すことが必要です。
 一方、医師の同意に基づいたプロトコルによる薬剤師による入院患者のDo処方入力は着実に広がりつつあるように思います。病棟における処方に関するエラーは、持参薬に関するものが最も多く、重複や相互作用以外などの問題以外にも、入力忘れや医師が専門外の領域の薬剤を処方入力することにも起因しています。
 持参薬を含めた薬物療法全体の管理を行っている薬剤師が、医師の指示のもとにプロトコルに従って入力することが最も安全性を担保できるものと思います。ただし、薬剤管理指導業務をベースとした処方入力の取り組みは、その業務が病棟薬剤師にのみ可能であり、病棟薬剤師の不在時における対応も考慮する必要があります。 今後、各病棟の業務の統一化を図り、情報の共有化と薬剤師スキルの向上によるバックアップ体制を構築する必要があります。
 当院で作成した薬剤師による処方入力プロトコルは、ほかの病院でも応用可能であると思います。病院情報システムが最新のものであれば、電子カルテシステムの承認機能などを有効に使って行います。しかし、実際に行うには各医療機関に見合った薬剤師の配置が必要であり、特に薬剤師の病棟常駐は必須であると考えます。 まずは、薬剤師の病棟常駐を推進しながら、医政局長通知を各医療機関に合ったように具体化されることが望ましいと考えます。
 この処方入力は、医師の指示に基づくものでありますが、その意義は現状の薬剤師にとって非常に大きなことと言えると思います。
 今後の展開によっては、米国の協働薬物療法管理(CDTM)や疾病管理(DM)といった制度に近づけることも可能であると考えます。

 

提供 : 株式会社スズケン



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